レシピで「フェタチーズ」と見かけたものの、どんな味なのか、ほかのチーズと何が違うのか分からず手が止まったことはありませんか。この記事では、フェタチーズの原料と産地のルール、味と食感の特徴、しょっぱさをやわらげる塩抜きのコツ、定番の食べ方、保存方法、売り場と代用品までまとめました。フェタチーズは、羊乳を主な原料にしてギリシャで作られる、塩水に漬けて熟成させる白いチーズです。塩気と酸味がはっきりしているので、料理に合わせて塩抜きの加減を変えるのが上手に使うコツです。
フェタチーズとは?ギリシャ生まれの塩水漬けチーズ
フェタチーズは、ギリシャを代表するフレッシュタイプのチーズです。外皮がなく、真っ白な四角いブロック状で、塩水(ブライン)に漬けた状態で熟成・保存されます。ギリシャではサラダやパイ、焼き料理などに日常的に使われ、食卓に欠かせない存在です。
名前の由来はイタリア語の「fetta(切れ端、薄切り)」とされ、大きな塊を切り分けて塩水の樽に漬けていた作り方にちなむと考えられています。
原料は羊乳が主体(山羊乳は30%まで)
本来のフェタチーズは、羊の乳、または羊の乳に山羊の乳を混ぜて作ります。山羊乳を混ぜる場合は全体の30%までと決められており、牛乳は使いません。凝固させた乳を型に入れて水分を切り、塩をしてから塩水に漬け、2か月以上かけて熟成させます。
羊乳は牛乳に比べて脂肪分やたんぱく質が多く、コクのある乳です。フェタチーズのまろやかなコクと、ほんのり感じる独特の風味は、この羊乳によるものです。
「フェタ」を名乗れるのはギリシャ産だけ
「フェタ」という名前は、EUの原産地名称保護制度(PDO)で守られています。2002年に登録され、ギリシャの決められた地域で、決められた原料と伝統的な製法で作ったチーズだけが「フェタ」と名乗れるようになりました。ワインでいう「シャンパン」と同じ仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。
ギリシャ産のフェタには、パッケージに「PDO」や、ギリシャ語の略称「ΠΟΠ」の表示があります。本場の味を選びたいときは、この表示を目印にしてください。
「白チーズ」「フェタタイプ」との違い
売り場では、デンマークなどギリシャ以外の国で作られた、よく似たチーズも見かけます。牛乳で作られたものが多く、「ホワイトチーズ」「サラダチーズ」「フェタタイプ」などの名前で売られています。フェタに比べるとクセが少なく、塩気や酸味もおだやかな傾向です。
フェタチーズの味と食感|塩気・酸味・ポロポロ感
フェタチーズの味をひと言で表すと、「塩気が強く、さわやかな酸味のあるチーズ」です。塩水に漬けて熟成させるため、そのまま食べるとかなりしょっぱく感じます。後から羊乳のコクと、ヨーグルトに似た乳酸の酸味が追いかけてきます。
食感は、木綿豆腐を少し締めたような、しっとりしつつもポロポロと崩れる質感です。指やフォークで簡単にほぐせるので、サラダに散らしたり、料理の仕上げにのせたりしやすいのが特徴です。熟成が進んだものほど締まって崩れやすく、若いものはややなめらかです。
加熱すると、モッツァレラのように糸を引いて溶けることはありません。形を保ったまま、表面が少し焼き色づき、中がしっとりやわらかくなります。溶けて広がらないので、焼き料理の具材にも向いています。
よく似たチーズと比べてみる
フェタチーズと、スーパーで手に入りやすいチーズを比べると次のとおりです。
| チーズ | 主な原料 | 味 | 食感 |
|---|---|---|---|
| フェタ | 羊乳(山羊乳を混ぜることも) | 塩気が強く、酸味がある | しっとりしてポロポロ崩れる |
| モッツァレラ | 牛乳または水牛乳 | 塩気は控えめで、ミルクの甘み | 弾力があり、加熱すると糸を引いて溶ける |
| カッテージ | 脱脂乳など(牛乳) | 淡泊で、ほのかな酸味 | 粒状でみずみずしい |
| リコッタ | ホエイ(乳清) | 塩気が少なく、ほんのり甘い | なめらかでふんわり |
| パルメザン | 牛乳 | うまみと塩気が濃い | 硬く、削って使う |
見た目が似ているカッテージチーズやリコッタチーズは、塩気も酸味もずっとおだやかです。「白くてポロポロしたチーズ」と思って同じ感覚で使うと、フェタチーズは料理全体がしょっぱくなりやすいので気をつけましょう。
食べる前に知りたい塩抜きのコツ
フェタチーズのしょっぱさが気になるときは、水や牛乳に浸けて塩抜きをします。ただし、塩抜きは必ずしなければいけない下ごしらえではありません。塩気が強いぶん、ほかの調味料の代わりになるのがフェタチーズのよさなので、料理によって塩抜きをするかどうかを決めましょう。
水・牛乳で塩抜きする手順と時間の目安
基本の塩抜きは、水に浸けて冷蔵庫で置いておくだけです。次の手順で進めます。
- 使う分だけを切り分け、表面の塩水を軽く流す
- ボウルや保存容器に入れ、チーズがかぶるくらいの水を注ぐ
- ふたかラップをして冷蔵庫に入れ、30分ほど置く
- 端を少し切って味見し、まだしょっぱければ水を替えてさらに置く
- 好みの塩気になったら、キッチンペーパーで水気を拭いて使う
時間の目安は30分〜数時間ほどです。商品によって塩気がかなり違うため、時間で決めるより、途中で味見をして調整するほうが失敗しません。小さく切ってから浸けると、塩が早く抜けます。
水の代わりに牛乳を使うと、塩気が抜けるのと同時に、酸味の角がとれてまろやかな味になります。そのまま食べたいときや、子どもも食べる料理に使うときに向いています。塩抜きに使った牛乳には塩分が移っているので、飲まずに処分するか、グラタンやスープなど塩を加える料理に回しましょう。
塩抜きしないほうがおいしい使い方
サラダやパスタ、オーブン焼きなど、フェタチーズを調味料のように使う料理では、塩抜きをせずにそのまま使うのがおすすめです。フェタの塩気と酸味がドレッシングやソースの役目を果たすので、ほかの塩は控えめにして味を見ながら足していきます。
- 塩抜きしない:サラダ、パスタ、オーブン焼き、スイカやトマトと合わせる前菜
- 軽く塩抜きする:オムレツやサンドイッチなど、ほかの具材にも塩気がある料理
- しっかり塩抜きする:そのままおつまみにする、はちみつをかけて食べる
フェタチーズの定番の食べ方
フェタチーズは、生のままサラダに使うのが定番です。焼いてもおいしく、和の食材とも意外によく合います。ここでは、はじめてでも取り入れやすい食べ方を紹介します。

ギリシャ風サラダ(ホリアティキ)
フェタチーズを使った料理で最も有名なのが、ギリシャの家庭料理「ホリアティキ」です。ギリシャ語で「村のサラダ」という意味で、日本では「ギリシャ風サラダ」とも呼ばれます。ざく切りのトマトときゅうり、薄切りの赤玉ねぎ、ピーマン、黒オリーブを器に盛り、フェタチーズを塊のままのせるのが本場のスタイルです。
仕上げに乾燥オレガノを振り、オリーブオイルをたっぷり回しかければ完成です。ドレッシングは使わず、フェタの塩気と野菜の水分、オリーブオイルで味をまとめます。食べるときにフェタを崩しながら野菜と混ぜると、全体にほどよく塩味が行き渡ります。トマトやきゅうりがおいしい夏に、特におすすめです。

オーブン焼き・フェタパスタ
フェタチーズは焼いても溶け広がらず、表面は香ばしく、中はしっとりとした食感になります。耐熱皿にフェタの塊を置き、周りにミニトマトを並べてオリーブオイルとにんにく、黒こしょうをかけ、200℃前後のオーブンで20〜30分ほど焼きます。焼き上がったらフェタとトマトを崩して混ぜ、ゆでたパスタをからめれば「フェタパスタ」の完成です。SNSで話題になった食べ方で、材料が少なく手軽に作れます。
ギリシャには、ほうれん草とフェタチーズを薄いパイ生地で包んで焼く「スパナコピタ」という料理もあります。家庭では、冷凍パイシートを使うと手軽に作れます。オムレツやキッシュの具にしたり、グラタンの仕上げに散らしたりしても、ほどよい塩気がアクセントになります。
和の食卓に合わせるなら
フェタチーズは、塩気のある白い食材という点で、日本の食卓にもなじみます。冷ややっこに少量を崩してのせ、オリーブオイルとしょうゆを数滴たらすと、洋風の前菜のような一品になります。ゆでたブロッコリーやいんげんを、崩したフェタとオリーブオイルで和えるのも手軽です。
意外な組み合わせでは、スイカとの相性のよさが知られています。角切りのスイカにフェタを散らし、ミントを添えると、甘みと塩気が引き立て合うさっぱりした前菜になります。ほかにも、はちみつをかけておつまみにしたり、焼いたなすやかぼちゃにのせたりと、甘みのある食材とよく合います。
フェタチーズを使うときは、まず料理に加える塩を控えめにするのがポイントです。味を見てから塩を足せば、しょっぱくなりすぎる失敗を防げます。
フェタチーズの保存方法と日持ち
フェタチーズは、塩水に浸けたまま冷蔵庫で保存するのが基本です。塩水には、チーズの乾燥を防ぎ、傷みにくくする役目があります。開封後は空気に触れる時間を減らし、早めに食べきるようにしましょう。

塩水ごと冷蔵が基本|保存方法ごとの日持ち
保存方法ごとの日持ちの目安は次のとおりです。未開封のものは、パッケージに書かれた期限と保存方法を優先してください。
| 保存方法 | 日持ちの目安 | 保存のしかた |
|---|---|---|
| 未開封・冷蔵 | 表示の期限まで | パッケージのまま冷蔵庫へ |
| 開封後・塩水に浸けて冷蔵 | 1週間前後 | 塩水ごと密閉容器に移し、チーズ全体を浸ける |
| オリーブオイル漬け・冷蔵 | 2週間程度 | 水気を拭いてから清潔な瓶に入れ、オイルで完全に覆う |
| 冷凍 | 1か月程度 | 使う量ずつラップで包み、保存袋に入れて空気を抜く |
付属の塩水を捨ててしまった場合は、水に塩を溶かした塩水を作って浸けておきます。真水に浸けると塩気と一緒にうまみも抜け、傷みやすくなるので避けましょう。
オリーブオイル漬けは、角切りにしたフェタをにんにくやハーブ、唐辛子と一緒に漬けておく方法です。そのままおつまみやサラダのトッピングに使え、残ったオイルもドレッシングや炒め物に活用できます。取り出すときは清潔なスプーンを使いましょう。冷蔵庫に入れるとオイルが白く固まりますが、常温に少し置けば元に戻ります。
冷凍すると水分が抜けて、解凍後はよりポロポロと崩れやすい食感になります。そのまま食べるより、オーブン焼きやパスタ、オムレツなど加熱する料理に使うのがおすすめです。解凍は冷蔵庫でゆっくり行い、一度解凍したものは再冷凍しないでください。
傷んだときの見分け方
次のような変化があるときは、食べずに処分しましょう。
- 表面や塩水に、青・緑・黒などのカビが生えている
- 表面がぬるぬるしている、糸を引く
- 塩水がひどく濁っている、泡が出ている
- アンモニア臭や、酸っぱさを超えた腐敗臭がする
- 黄色っぽく変色している
フェタチーズはもともと酸味のあるチーズなので、酸っぱいにおいがするだけでは傷んでいるとは限りません。買ったときのにおいや見た目と比べて、明らかに変わっていないかで判断しましょう。
フェタチーズはどこで買える?代用品は?
フェタチーズは、一般的なスーパーのチーズ売り場ではあまり見かけません。探すなら、輸入食品を多く扱う店や、チーズ専門店を当たるのが近道です。手に入らないときは、身近な食材で代用することもできます。
売り場の探し方
フェタチーズが見つかりやすいのは、次のようなお店です。
- デパ地下や駅ビルのチーズ専門店
- 輸入食品店や、輸入品の品ぞろえが多い高級スーパー
- 大型スーパーの輸入チーズコーナー
- コストコなどの会員制倉庫店(大容量のことが多い)
- ネット通販(チーズ専門の通販サイトや大手通販モール)
取り扱いは店舗や時期によって変わるので、店頭で確かめるか、事前にお店に問い合わせると確実です。売り場では、塩水ごとパックされたものや、ブロックを真空パックしたもの、キューブ状にしてオイルに漬けた瓶詰めなどが並んでいます。はじめてなら、量が少なめのものを選ぶと使い切りやすいでしょう。通販は冷蔵便になることが多く、送料もかかるため、ほかのチーズとまとめて頼むと割安です。
手に入らないときの代用品
フェタチーズが手に入らないときは、次のような食材で代用できます。完全に同じ味にはなりませんが、料理の雰囲気は十分に出せます。
| 代用品 | 使い方 | 向いている料理 |
|---|---|---|
| カッテージチーズ+塩 | 水気を切り、塩を少しずつ混ぜて塩気を足す | サラダ、和え物 |
| フェタタイプの白チーズ | そのまま使う(フェタより塩気がおだやか) | サラダ、焼き料理 |
| クリームチーズ+レモン汁+塩 | 酸味と塩気を足してから崩して使う | パスタ、オーブン焼き |
| 木綿豆腐+塩 | 水切りして塩をまぶし、冷蔵庫で半日ほど置く | サラダ(チーズを使わない代用) |
ポロポロした食感を再現しやすいのはカッテージチーズです。塩は一度に入れず、味見をしながら少しずつ加えてください。クリームチーズはなめらかなぶん、焼き料理でとろりと仕上がります。塩をした木綿豆腐は、チーズの代わりにさっぱり食べたいときの選択肢です。
よくある質問
- フェタチーズはそのまま食べられますか?
-
食べられます。加熱しなくてもよいチーズなので、切ってそのままサラダやおつまみにできます。ただし塩気が強いので、そのまま食べる場合は少量ずつにするか、塩抜きをしてから食べるとよいでしょう。
- フェタチーズとカッテージチーズは同じものですか?
-
別のチーズです。どちらも白くてポロポロしていますが、フェタチーズは羊乳を主な原料にして塩水で熟成させるため、塩気と酸味が強めです。カッテージチーズは牛乳から作る熟成させないチーズで、塩気が少なく淡泊な味わいです。
- 保存用の塩水は捨ててもいいですか?
-
食べきるまでは捨てずに残しておきましょう。塩水はチーズの乾燥と傷みを防ぐ役目があります。開封後も塩水ごと密閉容器に移し、チーズ全体が浸かった状態で冷蔵庫に入れてください。
- フェタチーズの塩分はどのくらいですか?
-
一般的なプロセスチーズなどと比べて、塩分は多めです。ただし、塩水の濃さや熟成期間によって商品ごとの差が大きいため、パッケージの栄養成分表示にある「食塩相当量」で確かめてください。塩分を控えたいときは、塩抜きをしたり、料理に加える塩を減らしたりして調整できます。
まとめ|フェタチーズは塩気を生かして使うのがコツ
フェタチーズは、ギリシャで羊乳を主な原料にして作られる、塩水漬けの白いチーズです。強い塩気とさわやかな酸味、ポロポロとした食感が特徴で、ほかの白いチーズとは使い方のコツが少し違います。
- 「フェタ」と名乗れるのは、EUのPDOで守られたギリシャ産のものだけ
- 味は塩気が強く、酸味がある。加熱しても溶け広がらない
- しょっぱさが気になるときは、水や牛乳に浸けて味見しながら塩抜きする
- サラダやオーブン焼きでは塩抜きせず、調味料代わりに使う
- 開封後は塩水ごと冷蔵し、1週間前後を目安に食べきる
- 手に入らないときは、カッテージチーズに塩を足して代用できる
まずはトマトときゅうりのギリシャ風サラダで、フェタチーズの塩気と酸味を味わってみてください。料理に加える塩を控えめにすれば、はじめてでもおいしく使えます。
