油揚げの油抜きはなぜ必要?やり方3つとしない場合の違い

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味噌汁に入れる油揚げ、いなり寿司に使う油揚げ。レシピを見ると「油抜きをする」と書かれていることもあれば、まったく触れられていないこともあります。毎回やるべき作業なのか、省いてしまってもいいのか、判断に迷ったことはないでしょうか。

この記事では、油抜きをする理由を3つに分けて整理したうえで、料理別にやったほうがいい場面と省いていい場面を早見表にまとめました。熱湯をかける・鍋でゆでる・ペーパーで吸わせるという3つのやり方の違い、電子レンジを使った時短、油抜き後の水気の絞り方と保存まで扱います。

先に結論をお伝えすると、油抜きは毎回必要な作業ではありません。判断の軸は「その料理で油揚げに味を含ませたいかどうか」です。煮汁を吸わせたい料理では効果がはっきり出ますが、油の香ばしさを生かす料理では、むしろ省いたほうがおいしく仕上がります。

目次

油揚げの油抜きとは?なぜするのかを3つに分けて整理

油抜きとは、油揚げの表面に残った揚げ油を、湯やペーパータオルで落とす下ごしらえのことです。目的は大きく3つあり、どれを狙うかによって、必要かどうかも、選ぶやり方も変わってきます。

そもそも油揚げは、豆腐を薄く切って水気を抜き、低めの温度で揚げてから高温で仕上げた食品です。二度揚げによって中が空洞になり、あの独特のスポンジ状の構造が生まれます。表面が油をまとっているのは、製法上どうしても避けられません。

理由1|表面の油膜が煮汁をはじいてしまう

いちばん実感しやすいのがこれです。油揚げの表面は油の膜でおおわれていて、水分をはじきます。だしや煮汁は水がベースですから、そのまま煮ても内部まで入っていきにくいのです。

湯をかけて油を流すと、スポンジ状の内部に煮汁が入る道ができます。同じ時間だけ煮ても、味の入り方がはっきり変わります。いなり寿司の甘辛い煮汁や、含め煮のだしを吸わせたいときに、この差が出ます。

油抜きは「油を落とす作業」であると同時に、「味を入れる準備」でもあります。味が染みない、色が薄いという悩みの原因が、火加減ではなく油膜にあることは珍しくありません。

理由2|時間が経った揚げ油の風味を落とす

油揚げは製造されてから店頭に並ぶまでに時間があり、家庭の冷蔵庫でも数日置かれます。その間に表面の油は少しずつ変化し、独特の油っぽいにおいが出てくることがあります。買ってすぐの油揚げでは気にならなくても、日が経つほど感じやすくなる部分です。

湯を通すと、このにおいのもとになっている表面の油が落ちます。だしの繊細な香りを生かしたい汁物や、薄味の煮物では、下ごしらえの有無が仕上がりの印象を左右します。逆に、味噌やしょうゆをしっかり効かせる料理では気になりにくくなります。

なお、においの出方は商品や購入からの日数によって差があります。パッケージに「油抜き不要」と書かれた商品もあり、その場合は油の付着が少なくなるよう作られています。「必ずやるもの」と決めつけず、袋を開けたときのにおいで判断するのが現実的です。

理由3|油とそのぶんのエネルギーが少し減る

油抜きをすれば、当然ながら落ちた油のぶんだけ油脂の量は減ります。減る量は方法によって差があり、しっかりゆでた場合で油揚げ1枚あたり2g前後、熱湯をかけたりペーパーで押さえたりした場合は1g前後というのが目安です。

油脂は1gあたり約9kcalなので、エネルギーに換算すると1枚あたりおよそ10〜20kcalの差になります。劇的な数字ではありませんが、油揚げを何枚も使う煮物や、毎日の味噌汁では積み重なります。

油を落とすほど、油揚げ特有のコクも一緒に抜けていきます。しっかりゆでれば味は入りやすくなりますが、香ばしさは減ります。「たくさん抜くほど良い」わけではなく、料理に合わせて抜き加減を選ぶという考え方が実用的です。

油抜きは必要?しなくていい料理・したほうがいい料理【早見表】

結論としては、油揚げに煮汁やだしを含ませたい料理では油抜きの効果が大きく、油の香ばしさや食感を生かす料理では省いてよいという整理になります。まずは料理別の目安を一覧で見てください。

料理油抜きおすすめの方法理由
いなり寿司したほうがよい鍋でゆでる(3〜5分)甘辛い煮汁をしっかり含ませるため
含め煮・煮しめしたほうがよい鍋でゆでる(3〜5分)だしの色と味を中まで入れるため
すまし汁・薄味の汁物したほうがよい熱湯をかけるだしの香りに油のにおいを乗せないため
味噌汁どちらでも熱湯をかける味噌の香りが強く、油は気になりにくい
ひじきの煮物・きんぴらどちらでもペーパーで押さえる油のコクが料理に合う。汁気は少なめ
きつねうどん・そばしたほうがよい鍋でゆでる(3〜5分)甘く煮含めるうえ、つゆに油が浮くのを防ぐ
炒め物・チャーハン不要油で調理するため落とす意味が薄い
焼き油揚げ・トースト不要表面の油が香ばしさのもとになる
刻んで薬味・トッピング不要水気が出ると食感が損なわれる

したほうがいいのは「煮汁を吸わせる料理」

いなり寿司、含め煮、きつねうどんの甘揚げ。これらはいずれも、油揚げそのものに味をつけて食べる料理です。油膜が残っていると煮汁が入らず、外側だけ味が濃くて中は薄いという状態になりがちです。

この系統の料理では、熱湯をかけるだけでは足りないこともあります。鍋で数分ゆでてしっかり抜いたほうが、煮汁の入りが良く、仕上がりの色も均一になります。時間はかかりますが、いちばん差が出るところです。

汁物のなかでも、だしの香りを立てるすまし汁は油抜きをしたほうが無難です。表面の油がつゆに浮くと、口当たりが重くなります。同じ汁物でも、味噌汁なら味噌の香りが強いため、省いても気になりにくくなります。

しなくていいのは「油のコクを生かす料理」

炒め物やチャーハンのように、そもそも油を使って加熱する料理では、油抜きをする意味がほとんどありません。落とした油のぶんを調理油で足すことになり、手間だけが増えます。

油揚げをそのまま焼いて食べる場合も同じです。トースターで焼いてしょうゆをたらす食べ方は、表面の油が香ばしさをつくっています。湯を通してから焼くと、水気が邪魔をしてパリッとしません。

刻んで薬味やトッピングに使うときも、油抜きは不要です。水分を含んだ油揚げは切りにくく、料理に乗せたときにしんなりしてしまいます。細く刻んでそのまま散らすほうが、食感が生きます。

迷ったときの判断基準は「汁気があるかどうか」

早見表にない料理で迷ったら、次の2つを順番に確かめてください。どちらにも当てはまらなければ、省いて問題ありません。

油抜きするかどうかの2つの問い
  • 油揚げに味を含ませたい料理か(煮る・煮汁に浸すならYES)
  • だしや薄い味つけの香りを生かしたい料理か(すまし汁・炊き合わせならYES)
  • どちらもNOなら省略可。油で加熱する料理・焼く料理は原則不要

もうひとつの目安が、袋を開けたときのにおいです。油のにおいが立つようなら、料理にかかわらず熱湯をさっとかけるだけで印象が変わります。買った当日で気にならなければ、そのまま使ってかまいません。

明るいキッチンで、ざるに並べた油揚げに片手鍋から熱湯を回しかけている手元のライフスタイル写真

油揚げの油抜きのやり方3パターン|抜ける量と手間の違い

油抜きの方法は大きく3つあります。抜ける油の量は「ゆでる>熱湯をかける≒ペーパーで押さえる」の順で、手間は逆の順番になります。料理に合わせて選び分けるのが実用的です。

方法所要時間油の落ち方(1枚あたり目安)向いている料理
熱湯を回しかける約30秒1g前後。コクが残る味噌汁・炒め煮・普段づかい全般
鍋でゆでる3〜5分+湯を沸かす時間2g前後。しっかり抜けるいなり寿司・含め煮・きつねうどん
ペーパータオルで押さえる約10秒1g前後。水気が出ない炒め物・トッピング・水気を足したくない料理

方法1|熱湯を回しかける(30秒・いちばん手軽)

もっとも手軽で、普段の料理ならこれで十分な方法です。やかんやケトルの湯を使えるので、鍋を出す必要がありません。コクをある程度残せるのも利点です。

STEP
ざるに油揚げを並べる

シンクにざるを置き、油揚げを重ならないように広げます。重なっていると湯が当たらない面ができ、油の落ち方にむらが出ます。ざるの下にボウルを置く必要はありません。

STEP
沸かした湯を両面に回しかける

沸騰した湯を、片面にゆっくり回しかけます。菜箸で裏返し、反対の面にも同じようにかけてください。片面あたり10〜15秒が目安です。湯の量は油揚げ2枚でカップ2杯程度あれば足ります。

STEP
粗熱を取って水気を絞る

さわれる温度まで冷ましてから、両手ではさむようにして水気を押し出します。ねじって絞ると破れるので、上から押さえるのが基本です。急ぐときは冷水にさっとくぐらせると早く冷めます。

方法2|鍋でゆでる(3〜5分・いちばんしっかり抜ける)

いなり寿司や含め煮のように、煮汁を深くまで含ませたい料理ではこちらを選びます。鍋に湯を沸かし、油揚げを入れて3〜5分ゆでるだけです。湯の表面に油が浮いてくるのが目で確認できます。

ゆで時間が長いほど油は落ちますが、同時に油揚げのコクも抜け、生地がやわらかくなって扱いにくくなります。5分を超えて煮る必要はほとんどありません。いなり寿司用に袋状に開く場合は、ゆでる前に開いておくと破れにくくなります。

ゆで上がったらざるにあげ、粗熱を取ってから水気を絞ります。ここで絞りが甘いと、煮汁が薄まって味がぼやけます。しっかり押さえて水を出すことが、この方法では特に重要です。

方法3|ペーパータオルで押さえる(湯を沸かさない)

湯を沸かすのが面倒なとき、あるいは水気を足したくない料理に向く方法です。キッチンペーパーで油揚げをはさみ、上から手のひらで軽く押さえて表面の油を吸い取ります。

落ちる油の量は熱湯をかけた場合と大きく変わりませんが、油揚げが水を含まないため、炒め物やトッピングに使うときに扱いやすくなります。水気を絞る工程も不要です。

一方で、においを落とす効果は湯を使う方法より弱くなります。油のにおいが気になる油揚げには向きません。あくまで「軽く表面の油を減らす」ための手段と考えてください。

電子レンジで油抜きはできる?時短のやり方と注意点

電子レンジでも油抜きはできます。キッチンペーパーで包んで加熱し、にじみ出た油をペーパーに吸わせるという考え方です。湯を沸かさずに済むため、1〜2枚だけ使いたいときに向いています。

手順はシンプルです。油揚げをキッチンペーパーで包み、耐熱皿に乗せて500Wで20〜30秒ほど加熱します。取り出したら熱いうちにペーパーごと軽く押さえ、油を吸わせてください。枚数が増えるときは、様子を見ながら10秒ずつ足します。

注意したいのは加熱しすぎです。油揚げは水分が少なく薄いため、長く加熱すると一気に乾いて硬くなります。焦げや発煙の原因にもなるので、1分を超える加熱は避けてください。ラップで包むと蒸気がこもり、油が落ちずに蒸されるだけになります。

電子レンジの方法は、熱湯をかけるやり方と同程度の軽い油抜きです。いなり寿司のようにしっかり煮含める料理には力不足なので、その場合は鍋でゆでる方法を選んでください。

油抜きしたあとの水気の絞り方と保存のコツ

油抜きの仕上がりを左右するのが、実は最後の水気の絞り方です。絞りが甘いと味がぼやけ、力を入れすぎると破れます。ここを丁寧にやるだけで、煮物の味の決まり方が変わります。

ねじらず、両手ではさんで押す

油揚げは薄い生地なので、雑巾のようにねじると簡単に裂けます。粗熱を取ってから、両手のひらではさんで上から押し出すのが基本です。まな板の上に置き、ペーパーをかぶせて手で押さえる方法も確実です。

絞り具合の目安は、押したときに水がにじまなくなるところまでです。持ち上げてしずくが落ちるようなら、まだ絞りが足りません。いなり寿司用に袋状にしたものは、形が崩れないよう、指の腹でそっと押していきます。

使い切れないぶんは切ってから冷凍する

油揚げは冷凍しても食感が落ちにくい食材です。油抜きをして水気を絞ったあと、料理に使うサイズ(短冊・千切り・三角)に切り、1回分ずつラップで包んで保存袋に入れます。こうしておけば、凍ったまま鍋に入れられます。

味噌汁や煮物に使うときは解凍不要です。凍った状態のまま加えて、そのまま煮てください。汁物の具として使い回せるので、まとめて処理しておくと平日の調理が楽になります。

油抜きの有無にかかわらず、油揚げは日持ちのしない食材です。冷蔵での保存期間や、期限を過ぎたものをどう判断するかは、次の記事にまとめています。

油抜きでよくある失敗と対処法

手順自体は単純ですが、いくつか失敗しやすい場面があります。原因がわかれば次から避けられるので、よくある3つを挙げておきます。

煮物が水っぽい・味が薄まる

ほぼ確実に、水気の絞り不足が原因です。油揚げはスポンジ状なので、見た目以上に水を抱えています。その水が煮汁に出ることで、狙った味より薄い仕上がりになります。

対処としては、絞りをやり直すのがいちばん早い方法です。すでに煮てしまった場合は、しょうゆやみりんを少量ずつ足して調整します。次からは、絞ったあとにペーパーで包んで数分置くと、残った水分が抜けて安定します。

油揚げが破れる・穴があく

絞るときにねじった場合と、熱いうちに力を入れた場合に起こりやすい失敗です。粗熱を取ってから、はさんで押すという手順を守れば大幅に減ります。

いなり寿司用に袋状に開くときは、油抜きの前に、菜箸を油揚げの上で転がしてから切ると開きやすくなります。生地が離れて中に空間ができるためです。破れてしまったぶんは、刻んで炊き込みご飯や味噌汁に回せば無駄になりません。

味が入らない・色がつかない

油抜きが軽すぎる可能性があります。熱湯をさっとかけただけでは、いなり寿司のように濃い味を含ませる料理には足りないことがあります。鍋で3〜5分ゆでる方法に切り替えてみてください。

もうひとつ多いのが、煮る時間ではなく冷ます時間の不足です。油揚げは煮ているあいだよりも、火を止めて冷めていく過程で煮汁を吸います。煮汁につけたまま冷ませば、加熱を延ばさなくても味が入ります。

水っぽいなら絞り不足、破れるならねじりすぎ、味が入らないなら抜きが軽いか冷ます時間が短い。失敗の原因はこの3つでほぼ説明がつきます。

油揚げの油抜きについてよくある質問

油抜きをしないと体に悪いのでしょうか?

油抜きは安全のための処理ではなく、風味と味の入り方を整えるための下ごしらえです。しなかったからといって問題が起きるものではありません。気になるのは油のにおいや口当たりといった味の面なので、料理に合わせて判断してかまいません。

熱湯をかけるのと、鍋でゆでるのはどちらが良いですか?

目的次第です。普段の味噌汁や炒め煮なら、熱湯を両面にかける方法で十分です。いなり寿司や含め煮のように煮汁を深く含ませたい料理では、鍋で3〜5分ゆでたほうが仕上がりに差が出ます。ゆでるほど油は落ちますが、油揚げ特有のコクも減ります。

油抜きした油揚げは冷凍できますか?

できます。水気をしっかり絞り、使うサイズに切ってから1回分ずつラップで包み、保存袋に入れて冷凍してください。味噌汁や煮物には凍ったまま入れられるので、解凍の手間もかかりません。切らずに冷凍すると、使うときに包丁が入りにくくなります。

油抜き不要と書かれた商品でも、湯をかけたほうがいいですか?

不要と表示されている商品は、油の付着が少なくなるよう作られています。そのまま使って問題ありません。ただし、いなり寿司のように味を深く含ませたい料理では、湯を通すことで煮汁の入り方が良くなります。においが気にならなくても、味の入りを優先する場面では試してみてください。

厚揚げも同じように油抜きが必要ですか?

厚揚げにも同じ考え方が当てはまりますが、必要性は油揚げより低くなります。厚揚げは中が豆腐のまま残っているため、表面の油の割合が小さいからです。煮物にするときは熱湯をかける程度で十分で、焼いて食べるなら省いてかまいません。

油抜きに使った湯は再利用できますか?

落とした油とにおいが溶け出しているため、料理には使わないでください。油抜きの目的そのものが失われます。そのまま流すのが気になる場合は、冷ましてから紙などに吸わせて処分すると排水管への負担を抑えられます。

まとめ|油抜きは毎回ではなく、料理に合わせて使い分ける

油揚げの油抜きは、味を含ませる準備と、油の風味を落とすための下ごしらえです。安全のための工程ではないため、すべての料理で必要というわけではありません。

煮汁を吸わせるいなり寿司や含め煮では鍋で3〜5分ゆでる、普段の味噌汁なら熱湯を両面にかける、炒め物や焼いて食べるときは省く。この3段階で考えれば、迷う場面はほとんどなくなります。

そして仕上げの水気の絞り方が、味の決まり方を左右します。粗熱を取ってから、ねじらずに両手ではさんで押す。これだけで、煮物が水っぽくなる失敗はほぼ防げます。

迷ったら「油揚げに味を含ませたいか」で判断してください。含ませたいならゆでる、そうでないなら熱湯をかけるか、そのまま使う。この基準ひとつで、下ごしらえの手間をかける場所が決まります。

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