家庭菜園でとれたトマト、まとめ買いして熟れすぎたトマト。生のままでは食べきれないとき、ケチャップにしてしまうという手があります。
この記事では、トマトでケチャップを作る基本の手順と分量、煮詰める時間の目安、できあがる量、そして保存方法と日持ちの目安までをまとめました。トマト缶やミニトマトで作る場合の違い、市販品と味が違ってしまう理由と近づけ方も整理しています。
先に結論をお伝えすると、必要な材料はトマト・玉ねぎ・砂糖・塩・酢の5つだけ。作業のほとんどは「煮詰めて待つ」時間です。そして仕上がりを決めるのは、火加減でも高価なスパイスでもなく、どこまで水分を飛ばすかの一点にあります。
トマトでケチャップは作れる?材料と出来上がり量の目安
トマトでケチャップは作れます。特別な道具も、保存料のような専門的な材料も必要ありません。鍋とざる、そして時間があれば十分です。
ただし、最初に知っておきたいことがひとつあります。トマトは重さの9割以上が水分だという点です。ケチャップはその水分を飛ばして濃縮した調味料なので、思っている以上にトマトが減ります。「たくさん作ったつもりが小瓶1本だった」という結果になりがちなのは、このためです。
必要な材料は5つだけ
基本の配合は次のとおりです。トマト500g(中サイズ3個程度)を基準にしています。
| 材料 | 分量の目安 | 役割 |
|---|---|---|
| トマト | 500g(中3個) | 土台。完熟したものほど濃くなる |
| 玉ねぎ | 1/4個(50g) | うまみと甘みの厚み |
| 砂糖 | 大さじ2 | 甘みととろみ。日持ちにも関わる |
| 塩 | 小さじ1/2 | 味の輪郭を決める |
| 酢 | 大さじ1〜2 | 後味を締める。仕上げに加える |
ここに、あれば加えたいのがローリエ1枚とにんにく1片、こしょう少々です。市販のケチャップに感じる「あの香り」は、シナモンやクローブといった香辛料に由来します。手元にあればひとつまみ足すと、家庭の味から一歩近づきます。

トマト500gでどれくらいできる?
できあがりは、およそ120〜160ml(大さじ8〜10杯ほど)です。市販の小さいチューブ1本分と考えるとイメージしやすいでしょう。もとの体積の3分の1から4分の1まで減る計算になります。
| トマトの量 | できあがりの目安 | 煮詰め時間の目安 |
|---|---|---|
| 500g(中3個) | 120〜160ml | 25〜35分 |
| 1kg(中6個) | 250〜320ml | 40〜50分 |
| トマト缶400g×1 | 100〜130ml | 20〜30分 |
幅があるのは、トマトの品種と熟し具合によって水分量が変わるためです。桃太郎のような大玉の生食用トマトは水分が多く、加熱調理用として売られている細長い品種は水分が少なめで、同じ重さでも仕上がりに差が出ます。時間ではなく「木べらで鍋底をなぞったとき、道が一瞬残るか」で判断してください。
ケチャップ向きのトマトの選び方
ケチャップに向くのは、完熟して赤みが強く、少し柔らかくなったトマトです。サラダには使いにくくなった状態こそ適しています。青みが残るトマトは酸味が立ち、煮詰めても味がぼやけがちです。
- ヘタの近くまで赤く色づいている(青い肩が残っていない)
- 持ったときにずっしり重い
- 皮に張りがあり、ひび割れや傷んだ部分がない
- ヘタが緑でピンとしている(しおれているものは時間が経っている)
もし手持ちのトマトがまだ固ければ、常温で2〜3日置いてから作ると味が濃くなります。トマトの旬と選び方は、季節ごとの野菜をまとめた記事でも詳しく紹介しています。

トマトでケチャップを作る基本の手順
生のトマトから作る手順です。所要時間は下ごしらえ10分、煮詰め30分前後を見ておいてください。途中で目を離しても大きな失敗にはなりませんが、終盤は焦げやすいので鍋のそばにいたほうが安心です。
ヘタをくり抜き、反対側に浅く十字の切り込みを入れます。熱湯に15〜20秒ほどくぐらせ、皮がめくれてきたら冷水に取って皮をむきます。皮を残すと口当たりに繊維が残るため、なめらかに仕上げたいならこの工程は省かないでください。
トマトはざく切り、玉ねぎはできるだけ細かいみじん切りにします。鍋に油を少量ひき、玉ねぎを透き通るまで弱火で炒めてからトマトを加えます。玉ねぎを先に炒めるのは、辛みを飛ばして甘みに変えるためです。
ふたはせず、木べらでトマトをつぶしながら中火で煮ます。ここでローリエを入れておきます。最初の10分ほどは水分が多くはねやすいので、火加減は中火より少し弱めが扱いやすいでしょう。
かさが半分ほどに減ったら、いったん火を止めてローリエを取り出し、ざるで裏ごしします。種と残った繊維がここで取り除かれ、市販品のような均一な口当たりになります。裏ごしを省くと種のざらつきが残ります。
鍋に戻し、砂糖と塩を加えて弱めの中火で煮詰めます。とろみがついてくると鍋底が焦げやすくなるので、木べらで底をこするように混ぜ続けてください。目指す状態は「木べらで鍋底をなぞると、一瞬だけ道ができる」濃さです。
火を止め、酢を加えて全体を混ぜます。味をみて、甘みが足りなければ砂糖を、ぼやけていれば塩をごく少量ずつ足して調整してください。冷めるとさらに固くなるため、少しゆるいと感じるくらいで止めるのがちょうどよい濃さです。

酢を最後に加えるのが最大のコツです。酢の酸味と香りは加熱で飛んでしまうため、煮詰めの途中で入れると味がぼやけます。火を止めてから混ぜることで、市販品に近いキレのある後味になります。
玉ねぎのみじん切りを楽にする
この作り方でいちばん面倒なのが、実は玉ねぎのみじん切りです。細かければ細かいほど裏ごしが楽になり、口当たりもなめらかになりますが、そのぶん目にしみます。涙を抑える方法はいくつかあるので、切る前に確認しておくと作業が楽になります。

トマト缶・ミニトマトで作るときの違い
生のトマトが手に入らない季節でも、トマト缶やミニトマトで作れます。ただし、水分量と皮の割合が違うため、手順を少し変える必要があります。
トマト缶で作る(いちばん手軽)
トマト缶はすでに皮が取り除かれ、加熱処理も済んでいます。湯むきの工程がまるごと不要になるため、生トマトより10分ほど早く仕上がります。加工用の品種が使われているぶん、味が濃く出るのも利点です。
ホール缶とカット缶なら、ホール缶がおすすめです。ホールは煮ているうちに自然と崩れて濃度が出ますが、カット缶は形が残るように処理されているため、なめらかにするのに時間がかかります。400g缶1つで、できあがりは100〜130ml前後です。
なお、トマト缶は生トマトより酸味が強く出る傾向があります。砂糖を大さじ2から始めて、味をみながら足していくと調整しやすいでしょう。
ミニトマトで作る
ミニトマトは大玉より糖度が高く、そのぶん甘みの強いケチャップになります。砂糖は大さじ1程度から始めてください。
難点は、実の大きさに対して皮の割合が多いことです。1個ずつ湯むきするのは現実的でないため、半分に切ってそのまま煮て、あとから必ず裏ごしする方法をとります。裏ごしの手間は増えますが、皮のえぐみは確実に取り除けます。家庭菜園でミニトマトが一度にとれたときの使い道としては、これ以上ないほど適した方法です。
ミキサーがないときの作り方
レシピによってはミキサーで攪拌する工程がありますが、なくても問題ありません。この記事の手順のように「煮ながら木べらでつぶす → ざるで裏ごしする」だけで、じゅうぶんなめらかになります。
裏ごしに使うのは、目の細かい万能こし器かざるとゴムベラで足ります。熱いうちのほうが通りやすいので、粗熱が取れる前に済ませてください。冷めると果肉が固まり、押し出すのに力が必要になります。
市販のケチャップと味が違う理由と近づけるコツ
作ってみると「思ったより市販品と違う」と感じることがあります。原因はだいたい決まっていて、甘み・塩気・濃度のどれかが足りていません。
| 感じたこと | 足りていないもの | 対処 |
|---|---|---|
| 水っぽい・トマトの汁のよう | 濃縮 | さらに5〜10分煮詰める |
| 酸っぱいだけで物足りない | 甘みと塩気 | 砂糖と塩を少量ずつ追加 |
| 味がぼやけている | 塩 | ひとつまみ足して混ぜる |
| 香りが単調 | 香辛料 | こしょう・シナモンをごく少量 |
| 後味が重い | 酸味 | 火を止めてから酢を追加 |
甘さと酸味の調整(砂糖と酢の比率)
市販のトマトケチャップは、想像よりずっと甘く、そして塩気があります。原材料表示を見ると、トマトの次に糖類や食酢、食塩が並んでいるのはこのためです。手作りが「素朴すぎる」と感じるのは、砂糖と塩を控えめにしているからであって、失敗ではありません。
市販品の味に寄せたいなら、トマト500gに対して砂糖を大さじ3、塩を小さじ2/3まで増やしてみてください。酢は大さじ2が上限の目安です。それ以上入れると酸味が前に出すぎ、ソースというより酢漬けのような後味になります。
水っぽい・とろみが足りないとき
とろみ不足の原因は、9割方が煮詰め不足です。水溶き片栗粉でとろみをつける対処は使えません(冷めると固まり方が変わり、口当たりが粉っぽくなります)。素直に火にかけて水分を飛ばしてください。
ただし、判断を誤りやすい点がひとつあります。ケチャップは冷めると必ず濃くなります。熱いうちにちょうどよい濃さにすると、冷蔵庫から出したときには固すぎる状態になっています。少しゆるいと感じるところで火を止めるのが正解です。煮詰めすぎて固くなったときは、水か少量のトマトジュースでのばせば戻せます。
色が茶色っぽくなる原因
できあがりが赤ではなく茶色寄りになるのは、高温で長く加熱しすぎたためです。糖分とアミノ酸が反応して褐色に変わる現象で、焦げているわけではありませんが、鮮やかさは戻りません。
防ぐには、終盤の火加減を弱めることです。水分が減ってからは焦げるまでの余裕が一気になくなるので、最後の5分は弱火にして混ぜ続けてください。鉄のフライパンではなく、ステンレスかホーローの鍋を使うのも有効です。酸に強い素材のほうが、色にも風味にも影響が出にくくなります。
手作りケチャップの保存方法と日持ちの目安
手作りのケチャップには、市販品のような保存性はありません。レシピによって「2〜3日」「2週間」「1か月」とばらつくのは、砂糖・塩・酢の量と容器の扱いが違うためです。以下は、清潔な密閉容器に入れて冷蔵した場合の目安です。
| 保存方法 | 日持ちの目安 | 条件 |
|---|---|---|
| 冷蔵(基本の配合) | 約2週間 | 煮沸した容器・清潔なスプーン |
| 冷蔵(砂糖・塩・酢を控えめ) | 3〜4日 | 早めに使い切る前提 |
| 冷凍(小分け) | 約1か月 | 製氷皿や保存袋で1回分ずつ |
| 常温 | 不可 | 脱気・殺菌の管理が家庭では難しい |
冷蔵保存(容器の準備が9割)
日持ちを左右するのは、レシピよりも容器の清潔さです。ガラス瓶なら、洗ったあと沸騰した湯で5分ほど煮沸し、清潔なふきんの上で自然乾燥させてから使います。プラスチック容器の場合は、熱湯を回しかけてよく乾かしてください。
- 熱いうちに容器へ入れ、ふたをして冷ましてから冷蔵庫へ
- 取り出すスプーンは毎回きれいなものを使う(使い回さない)
- 瓶の口とふたの裏は、使うたびに拭き取る
手作りの調味料を日持ちさせる考え方は、ドレッシングなど他の自家製調味料にも共通します。

冷凍保存(製氷皿で小分けに)
2週間で使い切れそうにない量を作ったら、最初から冷凍に回すのが確実です。おすすめは製氷皿に流して凍らせる方法で、1マスがおよそ大さじ1〜2に相当します。凍ったらキューブを取り出し、冷凍用保存袋にまとめて入れておきます。
使うときは解凍せず、凍ったままフライパンや鍋に入れて構いません。炒め物やスープなら、そのまま入れて加熱するだけで溶けます。冷蔵で自然解凍する場合は、半日ほどみておいてください。

傷んだときの見分け方
手作りは色や香りの変化がわかりにくいので、次のサインが出たら食べずに処分してください。日数の目安内であっても同じです。
- 表面に白や黒、緑のカビのような点が出ている
- ふたを開けたときにプシュッとガスが抜ける、小さな泡が立っている
- アルコールのような、発酵した甘酸っぱいにおいがする
- すくったときに糸を引く、ぬめりがある
なお、表面が黒っぽく変色しているだけなら、空気に触れた部分の酸化であることがほとんどです。においとカビがなければ、その層を取り除いて使えます。判断に迷ったときは、無理をせず処分するのが確実です。
手作りケチャップの使い方・使い切りアイデア
手作りのケチャップは市販品より水分が多く、甘みが控えめです。そのまま添えるより、加熱する料理に使うほうが持ち味が出ます。トマトの風味がストレートに残っているので、少量でも味の輪郭がはっきりします。
| 使い道 | 目安量 | ひとこと |
|---|---|---|
| ケチャップライス・オムライス | ご飯1杯に大さじ2 | 先に炒めて水分を飛ばすと味がぼやけない |
| ナポリタン | 1人分に大さじ3 | 麺を入れる前にソースを軽く煮詰める |
| ハンバーグソース | ケチャップ2:ウスター1 | 肉汁の残ったフライパンで煮立てる |
| ピザトースト | 1枚に大さじ1 | 水分が多いのでパンを軽く焼いてから塗る |
| ミネストローネ | 2人分に大さじ2 | コンソメと合わせるだけで味が決まる |
いちばん違いがわかるのはケチャップライスです。手作りは糖分が控えめなぶん焦げつきにくく、ご飯にムラなく行き渡ります。炊飯器で作るオムライスなら、味つけごと一度に済むので使い切りにも向いています。

余りそうなときは、味付けを足してソースに展開してしまう手もあります。しょうゆとみりんを少量足せば和風の炒め物だれに、ウスターソースと合わせればハンバーグや揚げ物のソースになります。ケチャップのまま保存するより使い道が広がり、結果的に早く消費できます。
トマトでケチャップを作るときのよくある質問
- トマトジュースやトマトピューレでも作れますか?
-
どちらでも作れます。トマトジュースは水分が多いので煮詰め時間が長くなり、食塩入りのものを使う場合は塩を減らしてください。トマトピューレはすでに濃縮されているため、煮詰めは10分ほどで足ります。手軽さで選ぶならピューレ、風味で選ぶなら生のトマトです。
- 湯むきは必ず必要ですか?
-
裏ごしをするなら省略できます。皮ごと煮て、最後にざるでこせば皮は取り除かれるためです。ただし皮が入ったまま長く煮ると、えぐみが出やすくなります。裏ごしをしない場合は湯むきが必須と考えてください。ミニトマトのように数が多いときは、湯むきせず裏ごしで対応するほうが早く済みます。
- 砂糖なし・塩控えめでも作れますか?
-
作れますが、日持ちは3〜4日程度と短くなります。砂糖と塩は味付けであると同時に、水分の状態を変えて傷みにくくする役割も担っているためです。控えめにする場合は、少量ずつ作って冷凍に回すのが現実的です。甘みを抑えたいときは、砂糖を完全に抜くよりも、玉ねぎをよく炒めて自然な甘みを引き出すほうが味がまとまります。
- 市販のケチャップより色が薄いのはなぜですか?
-
使っているトマトの品種が違うためです。市販品には加工用に育てられた、色素が濃く水分の少ない品種が使われています。生食用のトマトで作ると、どうしても明るい赤やオレンジ寄りに仕上がります。味の問題ではないので、そのまま使って差し支えありません。
- ケチャップとトマトソース・ピザソースはどう違いますか?
-
濃縮の度合いと味付けが違います。日本農林規格では、トマトケチャップは可溶性固形分25%以上で、糖類・酢・食塩・香辛料などで調味したものと定められています。トマトソースは可溶性固形分9%以上25%未満で、これより濃縮が緩く、味付けも控えめです。ピザソースはトマトソースにハーブやにんにくを加えたものが一般的で、甘みと酸味はケチャップほど強くありません。
- 子ども用に辛みや酸味を抑えたいのですが。
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こしょうや香辛料を入れず、酢を大さじ1までに抑えてください。玉ねぎをじっくり炒めておくと、酸味が控えめでも味がぼやけません。それでも酸味が気になる場合は、砂糖をほんの少し足すと角が取れます。加熱時間を延ばして酸味を飛ばす方法もありますが、色が茶色く変わりやすいので、砂糖での調整のほうが失敗しにくいでしょう。
まとめ|トマトでケチャップは「煮詰め加減」で決まる
トマトでケチャップを作る作業は、突きつめれば水分を飛ばして味を決めるだけです。難しい技術は必要ありませんが、量が驚くほど減ることと、市販品ほどは日持ちしないことの2点だけは、作る前に知っておくと計算が狂いません。
- 材料はトマト・玉ねぎ・砂糖・塩・酢の5つ。あればローリエとこしょう
- トマト500gで、できあがりは120〜160ml。煮詰めは25〜35分が目安
- 酢は火を止めてから加える(加熱すると酸味と香りが飛ぶ)
- 冷めると濃くなるので、少しゆるいところで火を止める
- 冷蔵は約2週間、冷凍なら製氷皿で小分けにして約1か月が目安
木べらで鍋底をなぞって、一瞬だけ道ができる。この状態を覚えてしまえば、あとはトマトの量が変わっても同じように作れます。熟れすぎたトマトが余ったときの行き先として、覚えておいて損のない一品です。
