生クリームは牛乳から作れない?バターで作る代用の分量と手順

当ページのリンクには広告が含まれています。
namacream-gyunyu-kara
  • URLをコピーしました!

ケーキを作ろうとしたら生クリームを買い忘れていた、あと少しだけシチューにコクを足したい。そんなとき冷蔵庫にあるのは牛乳だけ、ということがあります。「牛乳を振り続ければ生クリームになる」という話を聞いて試した人もいるかもしれません。

結論からいうと、スーパーで売られている一般的な牛乳から生クリームを取り出すことはできません。ただし、牛乳にバターを合わせれば料理用の代用クリームは作れますし、ゼラチンを足せば絞れるホイップ風にもできます。この記事では、なぜ牛乳だけでは無理なのかという理由と、代用クリーム2種類の分量・手順、そして代用が向く料理と向かない料理を整理します。

目次

結論:市販の牛乳だけでは生クリームにならない

牛乳をペットボトルに入れて何十分振っても、生クリームらしいものはできません。原因は2つあります。ひとつは牛乳と生クリームの成分がそもそも違うこと、もうひとつは市販の牛乳に施されている加工です。

牛乳から作れるのは「生クリーム風の代用品」までです。本物の生クリームと同じ泡立ち・口どけを再現することはできません。

牛乳と生クリームは乳脂肪分がまるで違う

生クリームは、生乳から乳脂肪分だけを分離して濃縮したものです。乳等省令では、生乳から乳脂肪分以外の成分を除いて乳脂肪分18.0%以上にしたものだけが「クリーム」と表示できます。市販の製品は35%前後と45%前後の2種類が主流です。

種類乳脂肪分の目安泡立て
牛乳(成分無調整)約3.5〜3.8%できない
クリーム(低脂肪タイプ)18〜30%程度しづらい・ゆるい
生クリーム(ケーキ用)35〜38%程度できる
生クリーム(高脂肪タイプ)45〜47%程度短時間で固まる

泡立てるという操作は、脂肪の粒どうしが網目状につながって空気の泡を抱え込む現象です。脂肪分が3〜4%しかない牛乳では、つながる相手が足りず泡が保てません。ホイップに最低でも30%前後が必要とされるのはこのためで、牛乳との差は10倍近くあります。

振っても分離しないのは「ホモジナイズ」のため

もうひとつの壁が均質化(ホモジナイズ)です。搾ったままの生乳は、置いておくと軽い脂肪球が浮き上がって上部にクリーム層を作ります。昔ながらの製法ではこの層をすくってクリームにしていました。

ところが市販の牛乳のほとんどは、出荷前に高い圧力をかけて脂肪球を細かく砕く処理を受けています。粒が小さくなると浮き上がる力が働かなくなり、飲み終わるまで均一な状態が保たれます。品質としては望ましい加工ですが、そのぶん振っても遠心分離機にかけても脂肪だけを集めることができません。

パッケージに「ノンホモ」「ノンホモジナイズ」と書かれた牛乳だけは例外です。この場合は脂肪球が大きいままなので、静置すればクリーム層が分離します。詳しくは後半の見出しで扱います。

牛乳の入ったガラスコップと生クリームのパックを並べた構図。明るいキッチンの雰囲気

牛乳+バターで作る代用生クリーム(加熱タイプ)

足りない乳脂肪を外から補う、というのが代用クリームの発想です。牛乳に無塩バターを溶かし込めば、脂肪分を生クリームに近い水準まで引き上げられます。シチュー・グラタン・パスタソース・カルボナーラなど、加熱して使う料理ならこれで十分に間に合います。

材料と分量(牛乳3〜4:無塩バター1)

比率は牛乳とバターが重量比でおよそ3〜4対1です。この割合だと脂肪分が30%前後になり、市販のクリームに近い濃度になります。少量から作れるので、レシピで必要な量に合わせて調整してください。

できあがり量の目安牛乳無塩バター
約100ml80ml20〜25g
約200ml160ml40〜50g
約300ml240ml60〜75g

バターは有塩でも作れますが、塩分がそのまま料理に加わります。お菓子に使うなら無塩、料理に使うなら有塩でも構わない、と考えると選びやすくなります。マーガリンは水分や乳化剤の構成が違うため、同じようには仕上がりません。

なお、バターを計量スプーンで量りたいときは重量との対応を知っておくと手早く進みます。

加熱して混ぜる手順

コツは沸騰させないことと、混ぜ続けることの2点だけです。火が強すぎると水分と脂肪が分かれてしまい、鍋肌に油の膜が浮きます。

STEP
バターを小さく切る

冷たい塊のままだと溶けるまでに時間がかかり、そのあいだに牛乳が煮詰まります。1cm角程度に刻んでおきます。

STEP
牛乳とバターを小鍋に入れて弱火にかける

いきなり中火にせず、弱火でゆっくり温めます。バターが浮いたまま溶けていく状態で問題ありません。

STEP
泡立て器で混ぜながら10分ほど温める

鍋のふちに小さな泡が出るくらい、85〜90℃を保ちます。沸騰させると分離するので、湯気が立ちすぎたら火から外して混ぜます。

STEP
とろみがついたら火を止める

全体が均一に白く濁り、泡立て器を持ち上げたときにゆるく糸を引けば完成です。そのまま料理に加えます。

電子レンジでも作れます。耐熱容器に牛乳とバターを入れて600Wで1分ほど加熱し、取り出してよく混ぜ、まだバターが残っていれば20秒ずつ追加で加熱します。吹きこぼれやすいので、容器は入れる量の倍の容積があるものを選んでください。

分離した・ゆるいときの原因と直し方

失敗の形はだいたい2通りに絞られます。原因と対処を先に知っておくと、作り直さずに済むことが多いです。

症状主な原因対処
表面に油が浮いて分かれた沸騰させた/火が強すぎた火から外し、泡立て器で強めに混ぜ直す。戻らなければ料理に混ぜ込んで使う
いつまでもさらさらのままバターの割合が少ないバターを追加して溶かす。牛乳4に対しバター1を下回らないようにする
ダマが残るバターが大きすぎた/混ぜ不足茶こしでこす。以降は刻んでから加える
冷めたら固まったバターが再び固化した正常な変化。使う前に軽く温め直す

いちど分離したものも、ソースやスープに混ぜてしまえば見た目にはわかりません。捨てる前に料理へ流し込んで加熱し、混ぜてみてください。

泡立てて絞りたいならゼラチンを足す

バターを加える方法では、加熱料理には使えても泡立てることはできません。ケーキに絞ったりデザートに添えたりしたい場合は、ゼラチンで固める方向に切り替えます。脂肪の網目のかわりに、ゼラチンの網目で泡を抱え込ませる仕組みです。

材料と分量(牛乳200mlにゼラチン5g)

目安は牛乳の量に対して粉ゼラチン2.5%です。牛乳200mlなら5g、100mlなら2.5gになります。多すぎるとゼリーのような食感になり、少なすぎると絞ったそばからだれます。

材料(牛乳200ml分)
  • 牛乳 200ml
  • 粉ゼラチン 5g
  • 砂糖 大さじ2(好みで増減)
  • ゼラチンをふやかす水 大さじ2(ふやかし不要タイプなら省略)

バニラオイルを数滴加えると香りが立ち、牛乳っぽさがやわらぎます。仕上がりを白くしたい場合は砂糖をグラニュー糖にしてください。

冷やしながら泡立てる手順

STEP
ゼラチンをふやかす

水大さじ2に粉ゼラチンを振り入れ、5分ほど置きます。逆の順番で入れるとダマになります。

STEP
牛乳の一部を温めて溶かす

牛乳50mlほどを電子レンジで人肌より熱いくらいに温め、砂糖とふやかしたゼラチンを加えて完全に溶かします。沸騰させるとゼラチンの固まる力が落ちます。

STEP
残りの冷たい牛乳を混ぜる

残り150mlを加えてよく混ぜ、全体の温度を下げます。この時点ではまだ水のようにさらさらしています。

STEP
氷水に当てながら泡立てる

ボウルの底を氷水に当て、ハンドミキサーで泡立てます。とろみが出はじめてから一気に立ち上がるので、目を離さないでください。

STEP
角が立ったら冷蔵庫で休ませる

持ち上げてゆるく角が立てば完成です。絞り袋に入れて使う場合は、30分ほど冷やしてから作業すると形が保ちやすくなります。

ゼラチンは時間が経つと固まります。作ってから絞るまでの間隔が空くほど扱いにくくなるので、使う直前に泡立てるのが失敗しないコツです。

本物のホイップとの仕上がりの違い

期待値を先に合わせておいたほうが、がっかりせずに済みます。ゼラチン式のミルクホイップは、口に入れたときの溶け方が生クリームとは明らかに違います。

項目生クリーム牛乳+ゼラチン
口どけ体温でとろけるややプルンとした食感が残る
コク濃厚あっさり・軽い
絞り模様くっきり保てる細かい模様は出にくい
常温での持ちだれやすい比較的だれにくい
向く用途デコレーション全般ゼリーやプリンに添える・カップデザート

細かい絞り模様が必要なデコレーションケーキには向きません。逆に、ゼリーやフルーツに添える、パフェのグラスに絞るといった用途なら軽さが持ち味になります。

牛乳やヨーグルトを使った軽い冷たいデザートに寄せたいなら、はじめからそういうレシピを選ぶ手もあります。

ノンホモ牛乳なら本物のクリームが取れる

ここまでは代用の話でしたが、ひとつだけ牛乳から本物のクリームを取り出せる例外があります。均質化されていない「ノンホモ牛乳」です。牧場直送品や自然食品店、生協の宅配などで扱われています。

脂肪球が砕かれていないため、静かに置いておくと軽い脂肪が上へ移動し、瓶の上部に濃いクリーム層ができます。これをすくえば、少量ですが生クリームに近いものが手に入ります。

ノンホモ牛乳からクリームを取る流れ
  • 未開封のまま冷蔵庫に立てて1日ほど置く
  • 上部に色の濃い層ができているのを確認する
  • 振らずにそっと開け、スプーンで上澄みをすくう
  • すくった分は当日中に使い切る

ただし取れる量は多くありません。1リットルの牛乳から集められるクリーム層は数十mlほどで、ケーキ1台をデコレーションできる量にはなりません。コーヒーに落とす、スープの仕上げに垂らすといった使い方が現実的です。

よく聞く「ペットボトルを振ってバターを作る」実験も、ノンホモ牛乳か市販の生クリームが前提です。普通の牛乳では、何分振っても脂肪の塊はできません。

用途別|代用できる料理・できない料理

どちらの方法を選ぶかは、作りたい料理で決まります。加熱して混ぜ込む料理はバター式、冷たいまま形を保ちたいものはゼラチン式、と分けて考えるとわかりやすくなります。

作りたいもの向く方法仕上がり
クリームシチュー・グラタン牛乳+バター違いはほぼわからない
カルボナーラ・クリームパスタ牛乳+バターやや軽いが十分
コーンポタージュ牛乳+バター問題なし
キッシュ・グラタンの卵液牛乳+バター問題なし
パンナコッタ・ムース牛乳+ゼラチンあっさりした軽い口当たり
デザートに添えるクリーム牛乳+ゼラチン形は保てるが口どけは異なる
デコレーションケーキ代用は難しい絞り模様が保てない
ガナッシュ・生チョコ代用は難しい脂肪分不足で固まらない
アイスクリーム代用は難しい氷の粒が目立つ食感になる

「難しい」に分類したものは、脂肪分そのものが仕上がりの中心になる料理です。生チョコやガナッシュはチョコレートの油脂とクリームの乳脂肪が乳化して固まるため、水分の多い牛乳では分離します。アイスクリームは脂肪が氷の結晶の成長を邪魔することでなめらかになるので、脂肪が足りないとシャリシャリした食感になります。

迷ったときの分かれ目は「火を通すかどうか」です。加熱して溶け込ませる料理なら牛乳+バターでほぼ代用でき、冷たいまま形を見せる用途になるほど代用の難易度が上がります。

小鍋で牛乳とバターを泡立て器で混ぜている手元。湯気が立つ様子

代用クリームの保存方法と日持ちの目安

市販の生クリームと違って保存料が入っておらず、加熱後に空気に触れる工程もあるため、日持ちは短めに見ておくのが安全です。

種類保存場所日持ちの目安備考
牛乳+バター冷蔵(密閉容器)2〜3日冷えると固まるので使う前に温め直す
牛乳+バター冷凍2〜3週間解凍後は分離しやすい。加熱料理専用
牛乳+ゼラチン冷蔵(ラップ密着)当日中時間とともに固く締まる
ノンホモ牛乳のクリーム層冷蔵当日中牛乳本体の賞味期限も超えない

冷凍したものは、凍ったまま鍋に入れて弱火で溶かし、そのままシチューやソースに混ぜ込むのが向いています。解凍してから泡立て器で戻そうとしても、なめらかさは戻りません。

においが移りやすい点にも注意が必要です。冷蔵庫の中で口の開いた容器に入れておくと、翌日には冷蔵庫のにおいを吸っています。表面にラップを密着させるか、ふた付きの容器に移してください。

酸っぱいにおいがする、糸を引く、明らかに分離して戻らないといった変化があれば、日数にかかわらず使わないでください。

牛乳から作る生クリームのよくある質問

牛乳をひたすら振れば生クリームになりますか?

市販の牛乳ではなりません。出荷前に脂肪球を細かく砕く均質化処理がされており、振っても脂肪が集まらないためです。ノンホモ表示のある牛乳なら、静置することで上部にクリーム層ができます。

低脂肪牛乳や無脂肪乳でも代用クリームは作れますか?

バターを足す方法なら作れます。もともとの脂肪分が低いぶん、バターの量を気持ち多め(牛乳3に対しバター1程度)にすると濃度が近づきます。ただし牛乳由来のコクは薄くなります。

バターの代わりにマーガリンでもいいですか?

おすすめしません。マーガリンは水分量や乳化剤の構成がバターと異なり、加熱時に分離しやすくなります。風味も牛乳と合いにくいため、料理向けであっても仕上がりに差が出ます。

牛乳から作ったクリームでケーキをデコレーションできますか?

ゼラチンを使えば絞ること自体は可能ですが、細かい模様は保てません。表面を平らに塗る、シンプルな丸口金で絞るといった範囲にとどめるのが現実的です。凝ったデコレーションが目的なら市販の生クリームを用意してください。

牛乳とバターのクリームは、そのまま泡立てられますか?

泡立ちません。バターを加えて脂肪分は上がっていますが、生クリームのように細かく分散した脂肪球の状態にはなっていないためです。泡立てたい場合はゼラチンを使う方法に切り替えてください。

生クリームがないとき、ほかに代用できるものはありますか?

用途によって選択肢があります。コクを足したいだけならクリームチーズや水切りヨーグルトを牛乳でのばす、加熱料理なら豆乳とオリーブオイルを合わせる、といった方法です。いずれも風味は変わるため、味を見ながら調整してください。

まとめ|牛乳からできるのは「生クリーム風」まで

市販の牛乳から生クリームを取り出すことはできません。乳脂肪分が3〜4%と生クリームの10分の1程度しかないうえ、均質化処理によって脂肪球が細かく砕かれ、分離しない状態になっているためです。

ただし代用は十分に可能です。加熱料理なら牛乳とバターを3〜4対1で合わせ、沸騰させないように弱火で10分ほど混ぜれば、シチューやパスタソースで違和感のないクリームになります。泡立てて使いたい場合は、牛乳200mlに粉ゼラチン5gを溶かし、氷水に当てながら泡立てれば絞れる状態まで持っていけます。

一方で、デコレーションケーキ・生チョコ・アイスクリームのように脂肪分そのものが仕上がりを決める料理は、代用では同じものになりません。ここは無理をせず生クリームを買うほうが早い場面です。

火を通す料理なら牛乳+バター、冷たく固めるなら牛乳+ゼラチン。この2つを覚えておけば、生クリームを切らしていても大半の場面は乗り切れます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次