5月は端午の節句や八十八夜、母の日など、季節を感じる行事が集まる月です。それぞれの行事には、昔から食べ継がれてきた料理や食材があります。柏餅やちまき、新茶、初鰹など、5月の食卓を彩る伝統的な味には、それぞれ意味や願いが込められています。
この記事では、5月の主な行事食をまとめてご紹介します。由来や食べ方のコツ、家庭で楽しむヒントもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
- 5月にある主な行事と、それぞれの行事食の種類
- 柏餅・ちまき・新茶など伝統食材の由来と意味
- 家庭でムリなく5月の行事食を楽しむポイント
5月の行事食とは?季節の節目に食べる伝統料理
5月の行事食とは、端午の節句や八十八夜といった年中行事のときに食べる特別な料理のことです。季節の節目に旬の食材を取り入れたり、縁起をかついだ食べ物を囲んだりして、一年の健康や家族の幸せを願います。

5月にある主な年中行事
5月は新緑の季節と重なり、暦の上でも夏が始まる節目の月です。代表的な行事は次のとおりです。
- 八十八夜(5月1日頃):立春から数えて88日目にあたる雑節
- 立夏(5月5日頃):二十四節気のひとつで、暦の上で夏が始まる日
- 端午の節句/こどもの日(5月5日):男の子の成長を願う五節句のひとつ
- 母の日(5月第2日曜日):日頃の感謝を伝える日
2026年は5月10日が母の日にあたります。立夏とこどもの日は同じ5月5日に重なる年が多く、新緑の中で家族が集う機会の多い月です。
行事食を食べる意味と楽しみ方
行事食には「子どもの健やかな成長」「無病息災」「豊作」など、それぞれに願いが込められています。意味を知って味わうと、いつもの食事とは少し違う特別感が生まれます。
すべての料理を手作りしなくても大丈夫です。市販のお菓子を1つ買い添えるだけでも、家族で行事を楽しむきっかけになります。

毎年すべてを再現しなくても、年ごとにちがう行事食に挑戦するくらいでちょうどよいですよ。
端午の節句(こどもの日)の行事食
5月5日の端午の節句に食べる代表的な行事食は、柏餅とちまきです。どちらも男の子の健やかな成長と子孫繁栄を願う食べ物として、奈良時代から長く受け継がれてきました。
地域によって主役が変わるのも特徴です。関東では柏餅、関西ではちまきが主流とされており、近年は両方を食卓に並べる家庭も増えています。


柏餅|子孫繁栄を願う関東の定番
柏餅は、上新粉などで作った餅であんを包み、柏の葉でくるんだ和菓子です。柏の木は新しい芽が出るまで古い葉が落ちないことから、「跡継ぎが絶えない」「家系が続く」縁起物とされてきました。
あんはこしあん・つぶあん・みそあんの3種類が定番です。みそあんはやさしい甘さと白味噌の風味が特徴で、関東を中心に親しまれています。
ちまき|厄除けの願いを込めた関西の伝統
ちまきは、もち米やうるち米を笹や茅の葉で巻いて蒸した食べ物です。中国の故事に由来し、楚の政治家・屈原を供養するために5月5日に川へちまきを流したことが起源とされています。
日本には奈良時代に伝わり、災厄を払う食べ物として端午の節句に欠かせない存在になりました。関西では甘い和菓子タイプ、関東以北ではおこわのような塩味タイプなど、地域で味わいが異なります。
柏餅は日本生まれで「子孫繁栄」を願う和菓子、ちまきは中国由来で「厄除け」の意味を持つ食べ物です。葉の素材(柏/笹・茅)と、生地の中身(あん/もち米)にも違いがあります。
| 項目 | 柏餅 | ちまき |
|---|---|---|
| 主に親しまれる地域 | 関東 | 関西 |
| 由来 | 日本(江戸時代に広まる) | 中国(屈原の故事) |
| 包む葉 | 柏の葉 | 笹・茅の葉 |
| 中身の主役 | あん入りの餅 | もち米・うるち米 |
| 込められた願い | 子孫繁栄 | 厄除け・無病息災 |
かつお・たけのこ|縁起をかつぐ旬の食材
端午の節句には、和菓子だけでなく旬の食材を使ったお祝い料理も並びます。代表的なのが、かつおとたけのこです。
かつおは「勝男」と書ける語呂合わせから、強くたくましい子に育つようにとの願いを込めて食卓に登場します。たけのこは上に向かってまっすぐ伸びることから、子どもの健やかな成長の象徴とされてきました。
ちらし寿司やお刺身、たけのこご飯にすると見た目も華やかになり、家族で囲む節句のごちそうにぴったりです。
地域別の郷土行事食(べこ餅・笹巻き・あくまき)
柏餅やちまきのほかにも、地域独自の端午の節句の食べ物があります。郷土色豊かな行事食は、その土地の風土と歴史を映す存在です。
- べこ餅(北海道・東北):黒砂糖と白砂糖の生地を組み合わせた木の葉形の蒸し餅
- 笹巻き(山形県など):もち米を笹の葉で三角形に包んで茹でた素朴な味わい
- あくまき(鹿児島県など九州南部):もち米を竹の皮で包み、灰汁で長時間炊いた独特の食感
旅行先で見かけたり、お取り寄せで楽しんだりすると、5月の行事食の世界がぐっと広がります。
八十八夜(5月1日頃)の行事食
八十八夜の行事食といえば、新茶(一番茶)です。立春から88日目にあたるこの時期は、お茶の新芽が一斉に出そろう茶摘みの最盛期で、摘みたての新茶を味わう習慣が古くから続いています。
「八十八夜の別れ霜」という言葉のとおり、霜の心配が少なくなる時期でもあり、農作業の節目としても大切にされてきました。
新茶(一番茶)を味わう習慣
新茶は、その年に最初に摘まれたお茶のことです。冬の間に蓄えた養分がたっぷり含まれており、香りが豊かで甘みやうまみを感じやすいのが特徴です。
八十八夜に摘まれた新茶を飲むと長生きする、という言い伝えも残っています。縁起のよい飲み物として、家族や来客と一緒に楽しむのにぴったりです。
新茶のおいしい淹れ方と食べ合わせ
新茶は熱湯ではなく、少しぬるめのお湯で淹れると香りと甘みが引き立ちます。淹れ方の目安は次のとおりです。
沸騰したお湯を湯のみに移し、70〜80度ほどに冷まします。器を温める効果もあります。
1人分につき茶葉を約2g(ティースプーン1杯)を急須に入れます。
冷ましたお湯を急須に注ぎ、約60秒ほど蒸らします。動かさずに静かに置くのがコツです。
濃さが均一になるよう、複数の湯のみに少しずつ回し注ぎます。最後の一滴まで注ぎ切ると渋みが残りません。
新茶は柏餅や和菓子との相性が抜群です。茶葉の青々とした香りが、もち菓子のやさしい甘さを引き立ててくれます。
立夏(5月5日頃)に旬を迎える食材
立夏は、暦の上で夏が始まる日です。本格的な暑さが訪れる前の、さわやかな初夏の食材が出そろう時期で、食卓にも夏らしい彩りが増えていきます。
立夏に決まった行事食はありませんが、旬の食材を意識して取り入れることで、季節の移ろいを感じられます。
初鰹・新茶・たけのこなど夏の入り口の味
立夏の頃にとくにおいしくなる代表的な食材を挙げます。
- 初鰹:黒潮にのって北上してきた、脂が控えめでさっぱりとした味わい
- 新茶:八十八夜から立夏にかけて出回り、香りが最も豊か
- たけのこ:4〜5月に出る朝掘り品が柔らかくえぐみが少ない
- 新じゃがいも・新玉ねぎ:水分が多くみずみずしい食感
- そら豆・グリーンピース:彩りと食感のアクセントに
5月の旬の食材についてもっと知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。






食卓で立夏を感じる簡単な工夫
立夏のごちそうとして特別な料理を作らなくても、いつもの食事に旬の食材をひと品加えるだけで季節感は十分に楽しめます。
たとえば味噌汁の具材を新じゃがと新玉ねぎに変えてみる、サラダにそら豆を散らす、お刺身に初鰹を選ぶといった工夫が手軽です。家族で「もう夏が始まったね」と話しながら食べる時間が、ささやかな行事食になります。
母の日(5月第2日曜)に喜ばれる料理
母の日は、日頃の感謝を込めて手料理を用意したり、いつもより少し豪華な食事を囲んだりする日です。決まった行事食はありませんが、家族で囲む食卓がそのままごちそうになります。
2026年の母の日は5月10日。立夏とこどもの日のすぐあとなので、5月前半は行事続きで食卓もにぎやかになりそうです。
定番のちらし寿司・オムライス
母の日の食卓で人気のメニューには、見た目が華やかで取り分けやすい料理が選ばれる傾向があります。代表的なのは次のような料理です。
- ちらし寿司:彩りがよく、家族の人数に合わせて作りやすい
- オムライス:好きな具材で気軽にアレンジできる定番
- ハンバーグ:子どもから大人まで喜ばれるごちそうメニュー
- パスタ:旬のそら豆やアスパラを使うと季節感が出る
ちらし寿司のトッピングに初鰹や新タケノコを取り入れると、端午の節句の翌週らしさが生まれます。
手作りスイーツで感謝を伝える
食後のデザートに手作りスイーツを添えると、特別感がぐっと増します。子どもと一緒に作るのも楽しい時間です。
シフォンケーキやフルーツゼリー、いちごのショートケーキなど、難しい工程の少ないお菓子を選ぶと失敗しにくくなります。市販のスポンジ生地を活用して、デコレーションだけを手作りするのもおすすめです。



「ありがとう」と書いたメッセージカードを一枚そえるだけで、おうちでの食事が記念日らしくなりますよ。
5月の行事食を家庭で楽しむポイント
5月は行事が立て続けにあるため、すべてを完璧に再現しようとすると負担になります。手間をかけすぎず、家族で無理なく楽しめる工夫を取り入れるのがおすすめです。
市販品と手作りの上手な使い分け
柏餅やちまきは和菓子店やスーパーで手軽に購入できます。一方で、たけのこご飯やかつおのお刺身、新じゃがの味噌汁などは家庭でも簡単に用意できます。
主役の和菓子は市販品にまかせて、副菜や汁物に旬の食材を取り入れる、というように役割を分けると、忙しい平日でも行事食を楽しめます。
- 和菓子・パンは市販品を活用し、汁物だけ旬食材で手作り
- たけのこは水煮を使えば下処理いらずで時短になる
- ちらし寿司は市販の素+具材を後のせするだけで華やかに
子どもと一緒に楽しむ工夫
こどもの日や母の日は、子どもと一緒に台所に立つ絶好の機会です。お手伝いを通じて、行事食の意味や旬の食材を自然に伝えられます。
たとえば次のような作業は、小さな子どもでも参加しやすい工程です。
- 柏餅を柏の葉で包む
- ちらし寿司に錦糸卵やそぼろをのせる
- 新茶を急須から湯のみに注ぐ
- 母の日のメッセージカードを書く
「どうしてこの食べ物を5月に食べるの?」という会話が生まれれば、それだけで立派な食育の時間になります。
よくある質問
- 柏餅とちまき、両方食べてもいいですか?
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もちろん大丈夫です。関東と関西で主流が異なるだけで、両方を食卓に並べる家庭も増えています。子どもと味比べを楽しむのもおすすめです。
- 八十八夜に必ず新茶を飲まないといけませんか?
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厳密な決まりはありません。立夏の前後でも新茶は出回るので、家族の都合に合わせて味わってみてください。
- 母の日に決まった行事食はありますか?
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伝統的な決まりはありません。家族が好きなメニューや、お母さんの好物を中心に考えるのがいちばんです。
- 端午の節句に菖蒲湯と一緒に食べるものはありますか?
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菖蒲湯と組み合わせて柏餅やちまきを食べるのが昔ながらの過ごし方です。湯上がりの軽食として親しまれてきました。
まとめ|5月の行事食で季節を味わおう
5月の行事食は、端午の節句の柏餅・ちまき、八十八夜の新茶、母の日の手作り料理など、家族の幸せや感謝を願う食文化の集まりです。それぞれの由来や意味を知って味わうと、いつもの食卓が少し特別な時間になります。
すべてを手作りする必要はありません。市販品と旬の食材を上手に組み合わせて、無理のない範囲で5月の行事を楽しんでみてください。
- こどもの日:市販の柏餅+たけのこご飯で簡単節句ごはん
- 八十八夜:ぬるめのお湯で淹れた新茶を家族でひとくち
- 立夏:味噌汁の具材を新じゃが・新玉ねぎに替える
- 母の日:いつもの食事+ちょっとの手作りデザートで感謝を伝える





