あんかけスパとは?名古屋名物の特徴と家で作れるレシピ

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名古屋に行ったときに見かけた「あんかけスパ」。名前から中華風のあんかけを想像して、実物のピリッと辛いソースに驚いた人もいるかもしれません。あんかけスパは、とろみのあるトマト系のソースを、太めの麺を炒めたスパゲッティにかけた名古屋生まれの料理です。この記事では、あんかけスパの特徴と発祥、ミラカンなどメニュー名の意味を整理したうえで、家にある調味料で作れるレシピを紹介します。とろみで失敗しないコツや、余ったソースの保存方法もあわせてまとめました。

目次

あんかけスパとは?名古屋生まれの「とろみソース×太麺」

あんかけスパは、とろみをつけたスパイシーなソースを、炒めた太めのスパゲッティにたっぷりかけて食べる料理です。名古屋で生まれ、味噌カツや手羽先と並ぶ「名古屋めし」のひとつとして知られています。「あんかけスパゲッティ」「あんかけパスタ」と呼ばれることもありますが、地元では「あんかけスパ」や、略して「あんスパ」と呼ぶのが一般的です。

明るい木のテーブルの上の白い楕円の皿に、太めのスパゲッティと、たっぷりかかった赤茶色のとろみのあるソース、その上に炒めたウインナー・玉ねぎ・ピーマンがのっている様子を斜め上から。横にフォークと水の入ったグラス

名古屋のご当地スパゲッティには、喫茶店などで出される「鉄板スパゲッティ」もあります。鉄板ナポリタンやイタリアンとも呼ばれ、ケチャップで味つけした麺を熱した鉄板皿に盛り、まわりに溶き卵を流し入れて出します。炒めた麺にとろみのあるソースをかけるあんかけスパとは、味つけも盛りつけ方も異なります。

中華のあんかけとは別物|ソースの正体

「あんかけ」と聞くと、八宝菜のような透明なあんや、しょうゆ味のあんを思い浮かべるかもしれません。ところが、あんかけスパのソースは赤茶色で、味の方向はミートソースに近い洋風です。トマトや野菜、肉などを煮込んだソースをこして具を残さず、でんぷんでとろみをつけたものだと、元祖とされる店の紹介記事などで説明されています。

つまり「あん」は中華料理の名前を借りた表現で、実際には「とろみのあるミートソースの仲間」と考えるとイメージしやすくなります。ソースがなめらかで具が見えないのは、こして仕上げているためです。肉や野菜の具は、ソースとは別に炒めて麺の上にのせます。

3つの特徴|コショウの辛み・2.2mm前後の太麺・炒めた麺

あんかけスパを、ほかのスパゲッティ料理と分けている特徴は大きく3つあります。

  • (1) コショウの辛み:ソースにコショウをしっかり効かせていて、ひと口目からピリッとした刺激がある
  • (2) 太い麺:直径2.2mm前後の極太麺を使う店が多い。一般的なスパゲッティ(1.6〜1.8mm前後)よりひと回り太い
  • (3) 炒めた麺:ゆでた麺をラードなどの油で炒め、表面を焼きつけてから盛りつける

太い麺を油で炒めることで、もっちりした歯ごたえと香ばしさが出て、重めのソースに負けない食べごたえになります。ソースが麺によくからみ、最後のひと口まで冷めにくいのも、とろみのあるソースならではの良さです。

あんかけスパは「こしたトマト系ソースのとろみ」「コショウの辛み」「炒めた太麺」の3つがそろった、名古屋生まれのスパゲッティ料理です。

あんかけスパの発祥と歴史|昭和30年代の名古屋から

あんかけスパが生まれたのは、昭和30年代後半の名古屋です。考案したのはホテルのコック出身の横井博さんで、その後、専門店を通じて名古屋の街に広がっていきました。60年ほどの歴史があり、今では名古屋の定番の外食メニューになっています。

昭和30年代後半は、西暦でいうと1960年代前半で、東京オリンピック(1964年)の少し前にあたります。名古屋めしの中では、手羽先唐揚げの発祥店とされる「風来坊」が開業した昭和38年(1963年)とほぼ同じころです。

考案者と「そ~れ」「ヨコイ」

マイナビニュースの取材記事などによると、あんかけスパは、横井博さんが親戚と共同で開いた店「そ~れ」で出したのが始まりとされています。その後、横井さんは独立して「スパゲッティハウス ヨコイ」を開き、あんかけスパを看板メニューに育てました。このため、あんかけスパの「発祥店」は「そ~れ」、「元祖」は「ヨコイ」と紹介されることが多く、どちらも名古屋市内で営業している店として知られています(営業状況は訪れる前に確認してください)。

当時はまだスパゲッティそのものが珍しく、日本人の口に合う洋食として工夫を重ねた結果が、とろみのある濃いめのソースと太い麺の組み合わせだったと考えられます。後で紹介する「ミラネーズ」「カントリー」といったメニュー名も、ヨコイが考えたものが他店に広まったと紹介されています。

名古屋の定番になるまで

あんかけスパは、やがてヨコイ以外の店でも出されるようになり、名古屋市内には専門店がいくつもできました。店ごとにソースの辛さや酸味、麺の太さ、具材の組み合わせが少しずつ違い、「どの店の味が好きか」が話題になるほど、地元に根づいた料理になっています。

名古屋めしには、八丁味噌に代表される豆味噌を使った料理が多くあります。あんかけスパは味噌を使わない洋食系ですが、「濃いめの味つけで、ご飯やお酒が進む」という点では、どて煮や味噌煮込みうどんと通じるところがあります。ほかの名古屋めしを家で作ってみたい人は、こちらも参考にしてください。

定番メニューの名前と具材|ミラカン・ミラネーズ・カントリー

あんかけスパの店では、メニュー名を見ただけでは中身がわかりにくいことがあります。基本の形は、ソースは共通で、麺の上にのせる具材によって名前が変わる、という考え方です。代表的なのが、肉系の具の「ミラネーズ」と、野菜系の具の「カントリー」、その2つを合わせた「ミラカン」です。

メニュー名主な具材向いている人
ミラネーズウインナー・ハム・ベーコンなどの肉類肉のうまみを楽しみたい人
カントリー玉ねぎ・ピーマン・マッシュルームなどの野菜野菜の甘みとシャキッとした食感が好きな人
ミラカンミラネーズとカントリーの具を両方のせる初めてで迷ったとき(定番の組み合わせ)
ピカタ溶き卵をまとわせて焼いた豚肉などボリュームを重視したい人

「ミラネーズ」はイタリアのミラノ風を思わせる名前ですが、ミラノの郷土料理とは関係がありません。スパゲッティがイタリア料理であることから、イタリアらしい響きの名前をつけたものと紹介されています。カントリーも同じく、野菜炒めをのせたスパゲッティにつけた呼び名です。

具材の内容や名前、値段は店によって違います。トッピングを追加できる店や、麺の量・ソースの量を選べる店もあるので、注文前にメニューの説明を確かめると安心です。初めてなら、肉と野菜の両方を味わえるミラカンを選んでおくと、あんかけスパらしさをひととおり楽しめます。

ソースはかなり熱く、跳ねると服に色が残りやすいので、白っぽい服の日は紙エプロンがあるかどうかを店で確かめておくと安心です。

家で作るあんかけスパのレシピ(2人分)

専門店のソースは、野菜や肉を長時間煮込んでこして作ります。家庭では、トマトケチャップとウスターソースをベースにコンソメでうまみを足し、黒こしょうを効かせることで、手軽にそれらしい味に近づけられます。ソースは15分ほどで作れるので、麺をゆでている間に仕上げられます。

元祖とされるヨコイでは、野菜と肉を煮込んだソースを10日以上寝かせて仕上げています(名古屋市の観光情報サイト「名古屋コンシェルジュ」の店舗紹介より)。家で使う道具は、麺をゆでる大きめの鍋、ソース用の小鍋、麺と具を炒めるフライパンの3つです。

材料と分量

用途材料分量(2人分)
麺スパゲッティ(できれば1.9mm以上の太め)200g
麺ラード(サラダ油でも可)大さじ1
具ウインナー4本
具玉ねぎ1/2個
具ピーマン2個
ソース水300ml
ソーストマトケチャップ大さじ3
ソースウスターソース大さじ1と1/2
ソース顆粒コンソメ小さじ2
ソース砂糖・しょうゆ各小さじ1
ソース粗びき黒こしょう小さじ1/2〜1(好みで)
とろみ片栗粉+水片栗粉大さじ1と1/2+水大さじ3

ウスターソースは、さらっとした辛口の味がソースの輪郭を作ります。中濃ソースで代用すると甘みととろみが増えるので、その場合は砂糖を減らして調整してください。ソースの種類による味の違いは、こちらの記事でくわしく比べています。

作り方の手順

STEP
具材を切る

ウインナーは斜め切り、玉ねぎは1cm幅のくし切り、ピーマンは種を取って細切りにします。片栗粉は分量の水で溶いておきましょう。

STEP
ソースを煮立ててとろみをつける

小鍋に水とソースの調味料をすべて入れて中火にかけ、沸騰したら弱火で2〜3分煮ます。いったん火を止め、水溶き片栗粉をよく混ぜ直してから少しずつ回し入れ、混ぜながら再び火にかけます。ふつふつと煮立ってから1分ほど加熱し、とろみが落ち着いたら完成です。

STEP
麺をゆでる

たっぷりの湯に塩を入れ、スパゲッティを袋の表示時間どおりにゆでます。後で炒めるので、やわらかめが好みでなければ表示より1分ほど短くしてもかまいません。ゆで上がったらしっかり湯をきります。

STEP
麺をラードで炒める

フライパンにラードを熱し、麺を入れて中火で2〜3分炒めます。あまり触らずに焼きつけると、ところどころに焼き色がついて香ばしくなります。炒めた麺を皿に盛りつけます。

STEP
具材を炒めて盛りつける

同じフライパンでウインナー、玉ねぎ、ピーマンを炒め、軽く塩こしょうします。麺に温め直したソースをたっぷりかけ、炒めた具をのせたら出来上がりです。

明るいキッチンのコンロの上で、小鍋の中の赤茶色のとろみのあるソースを木べらで混ぜている様子と、隣のフライパンで太めのスパゲッティを炒めている様子

とろみで失敗しないコツ

あんかけスパの仕上がりを左右するのは、ソースのとろみです。よくある失敗と、その場でできる直し方をまとめました。

失敗主な原因直し方
ダマになった煮立った鍋に一気に入れた・片栗粉が沈殿していた火を止めて泡立て器で手早く混ぜる。残ったダマはこし器でこす
とろみがゆるい片栗粉が少ない・加熱が足りない煮立つまで加熱し直す。それでもゆるければ水溶き片栗粉を少しずつ足す
固まりすぎた片栗粉が多い・水分が飛びすぎたお湯を大さじ1ずつ足して混ぜ、好みの固さにのばす
時間がたつとさらさらになった長く煮すぎた・何度も温め直した温め直すときに水溶き片栗粉を少量足して整える

片栗粉のとろみは、加熱が足りないと粉っぽさが残り、反対に長く煮すぎたり強く混ぜ続けたりすると、粘りが弱まってゆるくなります。「火を止めて入れる→煮立たせて1分」を守ると安定しやすくなります。片栗粉が湿気ていると溶けにくくダマの原因になるので、保管方法も見直しておくと安心です。

本場の味に近づけるポイントとアレンジ

基本のレシピで作れたら、麺と油、コショウの使い方を少し変えるだけで、専門店の味にぐっと近づきます。具材を変えれば、冷蔵庫の残り物でも楽しめるのがあんかけスパのいいところです。

ソースの味そのものを好みに寄せたいときは、ケチャップとウスターソースの比率(このレシピでは2:1)を基準にします。酸味と甘みを足したいならケチャップを、辛口のキレを強めたいならウスターソースを、小さじ1ずつ加えます。1回足すごとに味見をすると、元の味から離れすぎる失敗を防げます。

麺の選び方とラードで炒める理由

麺は、スーパーで手に入るものの中からできるだけ太いものを選びましょう。1.9mmや2.0mm前後のスパゲッティが見つかれば、2.2mm前後を使う専門店の食感に近くなります。太い麺は表面積に対して中身が多いので、炒めてももちもち感が残り、とろみのあるソースを受け止めてくれます。

炒める油をラードにすると、豚の脂のコクと香りが麺に移り、家庭で作ったときの「何か物足りない」感じが減ります。ラードはチューブ入りのものが使いやすく、少量ずつ使えて便利です。手元になければサラダ油でかまいませんが、その場合はバターを少し足すとコクを補えます。コショウは、ソースに入れる分とは別に、食べる直前に粗びき黒こしょうを振ると香りが立ちます。

具材のアレンジと余ったソースの保存

具材は、ウインナーをベーコンやハム、豚こま切れ肉に変えても合います。野菜はマッシュルームやしめじ、なすを加えるとボリュームが出ます。溶き卵にくぐらせて焼いた豚肉をのせれば、店の「ピカタ」風になります。

ソースが余ったら、粗熱をとって清潔な保存容器に入れ、冷蔵庫で保存し、翌日を目安に使い切りましょう。片栗粉でとろみをつけたソースは、冷凍すると解凍したときに水分が分離し、とろみが弱くなりやすい性質があります。まとめて作って冷凍したいときは、とろみをつける前の段階で冷凍し、使う日に温めてから水溶き片栗粉を加えると、作りたてに近い状態で食べられます。

余ったソースは、温め直してオムライスやハンバーグにかけたり、ご飯にかけてドリア風に焼いたりしても使えます。再加熱は中心までしっかり温めてください。

明るい窓辺のテーブルに、太めのスパゲッティにとろみのある赤茶色のソースをかけ、溶き卵をまとわせて焼いた豚肉と炒めたしめじをのせた一皿。横に粗びき黒こしょうのミルとフォーク

あんかけスパのよくある質問

あんかけスパとあんかけパスタは同じものですか?

名古屋のあんかけスパを指して「あんかけパスタ」「あんかけスパゲッティ」と呼ぶ場合は同じ料理です。ただし、中華風のあんをパスタにかけた別の料理を「あんかけパスタ」と呼ぶこともあるので、レシピを探すときはソースの色や材料を確かめてください。

あんかけスパは辛いですか?

コショウを効かせたピリッとした辛さが特徴です。辛さの強さは店によって違います。家で作るときは黒こしょうを小さじ1/2から始め、食べる直前に好みで足すと調整しやすくなります。

片栗粉がないときは何でとろみをつければよいですか?

コーンスターチで代用できます。片栗粉より透明感は少なめで、とろみはやや控えめになるので、様子を見ながら少しずつ加えてください。

普通の太さのスパゲッティでも作れますか?

作れます。1.6〜1.7mm前後の麺でもおいしく食べられますが、炒めるとやわらかくなりやすいので、ゆで時間を表示より1分ほど短くするとよいでしょう。

市販のあんかけスパのソースはありますか?

レトルトのあんかけスパ用ソースが販売されています。地域によっては店頭で見つけにくいので、見当たらないときは通販を探してみてください。温めて炒めた麺にかけるだけなので、本場の味を手軽に試せます。

片栗粉とコーンスターチの使い分けや、代用するときの分量の目安は、こちらの記事にまとめています。

まとめ|あんかけスパは「ソースのとろみと麺の炒め」で決まる

あんかけスパは、昭和30年代後半に名古屋で生まれた、とろみのあるスパイシーなソースを炒めた太麺にかける料理です。中華のあんかけとは違い、ソースはトマト系でミートソースに近く、コショウの辛みが効いています。店では、肉系の具の「ミラネーズ」、野菜系の「カントリー」、両方をのせた「ミラカン」が定番です。

家で作るなら、ケチャップとウスターソースにコンソメと黒こしょうを合わせ、片栗粉は火を止めてから入れて、煮立てて1分加熱するのがコツです。麺はできるだけ太いものを選び、ラードで焼きつけるように炒めると、専門店の食感に近づきます。

まずは基本のミラカン風から作ってみて、コショウの量や具材を好みに合わせて変えていくと、自分好みのあんかけスパが見つかります。

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