秋になると出回る旬の栗。でも「茹でるのに時間がかかる」「皮むきが大変」と感じて、つい敬遠していませんか。そんなときに頼りになるのが圧力鍋です。
圧力鍋を使えば、加圧はたったの10分ほど。ホクホクの茹で栗が短時間で仕上がります。この記事では、栗の茹で方を圧力鍋の手順にそって解説します。破裂を防ぐコツや、茹でたあとの皮むき・保存方法まで順番にお伝えします。
スーパーの袋いっぱいの生栗を前に、夕食の支度まであと1時間。そんな場面でも間に合わせられるのが圧力鍋のいいところです。加圧の前に確かめておきたいことや、うまくいかなかったときの立て直し方まで押さえておけば、初めての一袋でも迷わず茹で上げられます。

栗を圧力鍋で茹でるメリット(時短・ホクホク)
栗を圧力鍋で茹でる一番のメリットは、なんといっても時短です。普通の鍋なら50〜60分かかるところ、圧力鍋なら加圧時間はおよそ10分。火にかける時間をぐっと縮められます。
もうひとつの利点は、火加減をつきっきりで見張らずに済むことです。圧がかかってしまえば弱火のまま放っておけるので、そのあいだに副菜を作ったり、洗い物を片づけたりできます。栗は一度に1kg近く手に入ることも多いので、まとめて火を通せるのも助かる点です。
普通の鍋との時間比較
調理器具によって、茹でる時間はこれだけ変わります。加圧後に圧が下がるのを待つ時間はありますが、コンロにつきっきりになる必要はありません。
| 調理器具 | 加熱の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 普通の鍋 | 約50〜60分 | 火加減の調整が必要 |
| 圧力鍋 | 加圧約10分 | 短時間・ホクホク |
| 蒸し器 | 約40〜50分 | 甘みが引き立つ |
ただし、表の数字は加圧そのものにかかる時間です。実際には火にかけてから圧がかかるまでに数分、加圧が終わってから圧が下がるまでに10〜15分ほどかかります。それでも鍋の前に立つ必要があるのは最初の数分だけなので、合計しても30分前後で片づく計算になります。
圧力鍋ならではのホクホク食感
圧力鍋は高い温度で一気に火を通すため、栗の中までしっかり熱が届きます。仕上がりは、まるで蒸し栗のようなホクホク食感。ゆで汁に栗の風味が逃げにくいのもうれしいポイントです。
皮つきのまま火を通せるのも、この方法の利点です。実の表面が湯に直接ふれないぶん身が水っぽくなりにくく、栗そのものの甘みを感じやすくなります。半分に切ってスプーンですくう食べ方をするなら、この仕上がりが向いています。

短い加圧時間なのに、しっかりホクホク。忙しい日でも旬の味を楽しめますね。
栗と同じころに出回る果物の選び方や保存は、こちらの記事でまとめています。


圧力鍋に入れる前に確かめること(量・機種・お手入れ)
圧力鍋は密閉して加熱する道具なので、入れる量や鍋の状態がそのまま仕上がりと安全性に響きます。消費者庁も2021年4月に「圧力鍋を安全に正しく使用しましょう!」として、入れ過ぎと蓋の洗浄について注意を呼びかけています。
栗は身近な食材ですが、皮に覆われていて加熱で膨らむという、圧力鍋がもっとも気をつかう性質を持っています。加圧を始める前の数分の確認が、そのあとの安心につながります。判断に迷ったときの基準は、レシピではなく手元の鍋の取扱説明書です。
調理量は満水容量の3分の2まで
消費者庁の注意喚起では、水と食材を合わせた量を満水容量の3分の2以下にすることが示されています。豆類や麺類のように吹きこぼれやすいものは3分の1以下です。栗は豆類ほど泡立ちませんが、加熱で膨らみ、細かい皮のくずも出ます。鍋の半分あたりを上限と考えておくと、余裕をもって扱えます。
下限にも決まりがあります。圧力鍋は蒸気で圧をかけるため、機種ごとに最低水量が定められています。栗がかぶるくらいの水を入れれば足りることがほとんどですが、少しだけ茹でるときは水が不足していないかを確かめてください。
機種によっては使えない食材がある
電気式・直火式を問わず、取扱説明書には「使用できない食材」の欄があります。皮や膜に覆われたもの、加熱で膨らむもの、皮が蒸気口や圧力調整部をふさぐおそれのあるものが並び、栗を名指しで避けるよう書いている機種もあります。
自分の鍋がどちらなのかは、型番でメーカーのサイトを調べれば取扱説明書のPDFで確認できます。栗が対象外になっている機種なら、無理に加圧せず普通の鍋や蒸し器に切り替えてください。同じ「圧力鍋」でもかかる圧力の高さには製品差があるため、この記事の10分・3分は一般的な目安として読み、初めて使う鍋では説明書のレシピ例とも見比べると安心です。
使う前と使ったあとのお手入れ
消費者庁の注意喚起で強調されているのが、蓋まわりの手入れです。蒸気口や圧力調整部が詰まっていないか、蓋と本体の間のパッキンにぬめりや劣化がないかを、使う前に見ておきましょう。ここが詰まると圧が正しく抜けなくなります。
栗を茹でたあとは、細かい鬼皮のくずが残りやすいことも覚えておきたい点です。使い終わったらパッキンを外して洗い、蒸気口に光を通して穴が抜けているかを確かめておくと、次に使うときに慌てずに済みます。
栗の茹で方|圧力鍋の手順【加圧10分】
ここからは、圧力鍋での具体的な茹で方を手順にそって紹介します。ポイントは、下準備の「切り込み」と「用途に合わせた加圧時間」の2つです。
用意するのは、生栗と水のほかに切り込み用の包丁かキッチンばさみ、茹で上がりを受けるざるくらいです。栗は丸くて転がりやすいので、まな板にぬれぶきんを敷いて固定すると刃が滑りにくくなります。下ごしらえから食べられる状態まで、40分ほど見ておくと余裕をもって進められます。
下準備:切り込みで破裂を防ぐ
栗はそのまま加圧すると、皮の中で膨らんで破裂することがあります。これを防ぐために、加圧前に切り込みを入れておきましょう。
栗のとがった側の上部に、包丁の角やキッチンばさみで十字の切り込みを入れます。このとき、鬼皮(外側の固い皮)から渋皮まで届くように刃を入れるのがコツです。栗は丸くて滑りやすいので、手を切らないよう十分に注意してください。
破裂を防ぐポイント:切り込みは「浅すぎ」に注意。鬼皮だけでなく渋皮まで届く深さにすると、加圧中の破裂を防ぎやすくなります。
加圧時間の目安(用途別)
加圧時間は、栗をどう使うかで変えるのがおすすめです。そのまま食べるならしっかりめ、あとで調理するなら短めが目安になります。
| 用途 | 加圧時間の目安 |
|---|---|
| 茹で栗としてそのまま食べる | 約10分 |
| 栗ごはん・甘露煮など後で加熱する | 約3分 |
茹で方の手順は次のとおりです。
栗を水で洗い、とがった側に十字の切り込みを入れます。虫食いや浮いてくる栗があれば取り除きます。
栗がかぶるくらいの水を注ぎます。水の量は機種の指示に従ってください。
中火にかけ、圧力がかかったら弱火にして10分(調理用は3分)加圧します。
加圧が終わったら火を止め、圧が自然に下がるまでそのまま待ちます。
圧が下がるまで自然放置する
加圧が終わったら、無理に圧を抜かず自然に下がるのを待ちましょう。ここで急いで圧を抜くと、栗が煮崩れたり食感が損なわれたりすることがあります。圧力表示が完全に下がってから、ふたを開けてください。
ふたが軽く動くようになるまでの時間は、鍋の大きさや量にもよりますが10〜15分ほどが目安です。メーカーが認めている方法以外で、鍋に水をかけて冷ますのは避けてください。急に冷やすと鍋が変形したり、中身が吹き出したりするおそれがあります。



圧が下がるのを待つあいだも、余熱でじっくり火が通ります。あわてず待つのが仕上がりのコツです。
うまく茹で上がらないときの原因と立て直し方
圧力鍋は途中でふたを開けて様子を見られないぶん、開けてから「思っていたのと違う」となることがあります。ただ、栗の場合はその場で立て直せるものが多く、たいていは捨てずに済みます。
共通の確認点はひとつ、加圧が本当にかかっていたかどうかです。おもりが揺れる音や圧力表示が上がった時点から時間を計り始めていたかを思い出すと、原因の見当がつきます。次に茹でるときのために、粒の大きさと加圧時間をメモしておくと精度が上がります。
破裂して中身が飛び出した
いちばん多いのは、切り込みが浅くて蒸気の逃げ道がなかったケースです。前述のとおり渋皮まで刃を届かせるのが基本ですが、栗を詰め込みすぎて上の栗が押されていた場合や、圧を急に抜いた場合にも起こります。
崩れてしまった実は、そのまま食べるには向きませんが味は変わりません。皮を外して栗ごはんに混ぜたり、フォークでつぶして砂糖と少量の湯でのばしてペーストにしたりすれば無駄になりません。形の残った栗と崩れた栗を分けておくと、あとの使い道を決めやすくなります。
加圧したのに芯が硬い
加圧時間が足りなかったか、圧がかかりきる前に時間を計り始めたときに起こります。大きめの粒ばかりを茹でた場合も、同じ10分では火が通りきらないことがあります。粒の大小が混ざっているときは、大きいものを基準に考えると失敗しにくくなります。
立て直しは簡単で、もう一度ふたをして1〜3分だけ加圧し直します。追加はいっぺんに長くせず、短く足して確かめるほうが失敗しません。加圧を繰り返したくないときは、ふたをしたまま10分ほど余熱で置くだけでも、芯の硬さがやわらぐことがあります。
渋皮がはがれない・実がぼろぼろになる
渋皮は、乾いて温度が下がるほど実にはりつきます。あとで触れる湯で戻す方法を試しても部分的に残るときは、無理にこそげ落とさないほうがきれいに仕上がります。残った渋皮ごと甘く煮る料理に切り替えれば、見た目の粗も気になりません。刃を当てて削ると実が欠け、量も減ってしまいます。
逆に実がぼろぼろと崩れるのは、加圧しすぎのサインです。次に茹でるときは加圧を短くし、あとから加熱する料理に使う予定なら3分側に寄せてください。崩れた実は、スプーンですくって器に盛るだけでも十分おいしく食べられます。
茹でた栗の皮むきを楽にするコツ
茹でた栗は、熱いうちが一番むきやすいタイミングです。冷めると皮が身にはりついて、むきにくくなってしまいます。やけどに気をつけつつ、温かいうちに作業しましょう。
用意しておくと楽なのは、小ぶりのペティナイフと、指先を守る軍手やゴム手袋です。茹で上がりは熱いので、素手で持つより布巾越しのほうが力を入れやすくなります。栗の皮むき専用のはさみもありますが、切り込みが入っていれば普通の包丁でも十分にむけます。
鬼皮と渋皮は分けてむく
栗には、外側の固い「鬼皮」と、その内側の薄い「渋皮」の2種類があります。この2つは、いっぺんにむこうとするとうまくいきません。まず切り込みを起点に鬼皮をむき、そのあとで渋皮をむくと、きれいに仕上がります。
むく向きにもコツがあります。切り込みの角に刃先を入れ、平らな座(お尻)に向かって引き下ろすと、鬼皮が面でめくれます。とがった先から攻めると割れやすいので、上から下へ動かすと覚えておくとよいでしょう。
渋皮がむきにくいときは、鬼皮をむいた栗を少しお湯につけてふやかすと、はがれやすくなります。
熱いうちがむきやすい理由
茹でた直後は鬼皮がやわらかくなっているため、生の栗よりも力を入れずにむけます。時間がたつほど皮は固く締まっていくので、作業は手早く進めるのがおすすめです。冷めてしまった場合は、もう一度温め直すとむきやすくなります。
とはいえ、一度に全部を熱いうちにむくのは大変です。数が多いときは5〜6個ずつ湯から引き上げてむき、残りは鍋のお湯に戻して温度を保つと、最後の一個まで同じ手ごたえでむけます。むいた実は乾きやすいので、水を張ったボウルに落としておくと表面が固くなりません。


皮むきに手間のかかる秋の食材は、栗だけではありません。柿のきれいな皮むきや切り方は、こちらでまとめています。


茹でた栗の保存方法(冷蔵・冷凍)
茹でた栗は日持ちしないため、すぐに食べない分は冷蔵か冷凍で保存しましょう。特に冷凍しておくと、食べたいときに少しずつ使えて便利です。
移すタイミングにもコツがあります。まずは粗熱をとってから容器や保存袋へ移しましょう。熱いまま密閉すると袋の内側に水滴がたまり、風味が落ちる原因になります。ざるに広げて湯気が引くまで置いてから移すと、この失敗を避けられます。
保存袋は薄手のものより、冷凍にも対応した厚手のタイプが向いています。
冷凍で約3か月・使うときの戻し方
茹でた栗は、保存袋に入れて冷凍すると約3か月を目安に保存できます。皮つきのままでも、むいた状態でも冷凍できますが、むいたものは乾きやすいため1か月ほどで使い切るのが目安です。冷蔵の場合は、温度の低いチルド室に入れても3〜4日程度で食べきるのが目安です。
| 保存方法 | 保存期間の目安 |
|---|---|
| 冷蔵(チルド室) | 3〜4日程度 |
| 冷凍 | 約3か月 |
冷凍した栗を使うときは、食べる分だけ取り出し、熱湯を張ったボウルに5分ほどつけると扱いやすくなります。皮つきで冷凍した栗は、この方法で皮もむきやすくなります。
保存前のひと工夫:冷凍する前に、栗どうしが重ならないよう平らに並べて袋に入れると、必要な分だけ取り出しやすくなります。
皮つきで冷凍するか、むいてから冷凍するか
皮つきのまま冷凍すると、鬼皮と渋皮が乾燥から実を守ってくれるので、風味が落ちにくくなります。そのかわり、使うときに湯で戻してからむく手間がかかります。しばらく置いてから使う予定なら、こちらが向いています。
むき身で冷凍すれば、凍ったまま栗ごはんや煮物に加えられて手早く使えます。ただし実がむき出しなので乾きやすく、小分けにしてラップで包んでから保存袋に入れるひと手間が必要です。数週間のうちに使い切る見通しがあるなら、むき身のほうが結局は楽になります。
冷凍した野菜を解凍するときにつまずきやすい点は、じゃがいもの記事でも触れています。




同じ「ゆでる」でも、さつまいもは水から弱火でゆっくり火を通すのがコツです。丸ごと・輪切りなど切り方別のゆで時間の目安は、こちらにまとめました。


栗の茹で方でよくある質問
- 切り込みを入れないとどうなりますか?
-
加圧中に皮の内側で膨らみ、破裂することがあります。皮むきもしにくくなるため、十字の切り込みを入れてから茹でるのがおすすめです。
- 栗が浮いてくるのですが大丈夫ですか?
-
水につけたときに浮く栗は、中が乾いていたり虫食いだったりする場合があります。気になるものは取り除いてから茹でましょう。
- 甘くする方法はありますか?
-
茹でる前に、生の栗をチルド室で数日ねかせると、でんぷんが糖に変わって甘みが増しやすくなります。すぐ食べない場合に試してみてください。
- 圧力鍋がない場合はどうすればいいですか?
-
普通の鍋でも茹でられます。その場合はたっぷりの水で50〜60分ほど、弱めの中火で茹でてください。
- 切り込みは栗のどちら側に入れますか?
-
とがった先のある側に入れます。座(ざ)と呼ばれる平らなお尻の部分は皮が厚く、刃が入りにくいためです。切り込みを入れた栗は向きをそろえてざるに並べておくと、入れ忘れの栗が混ざらずに済みます。
- 加圧が終わってもふたが開きません。
-
まだ内部に圧が残っているサインなので、力を入れて回さないでください。圧力表示が完全に下がると、ロックが外れて軽く回るようになります。しばらく待っても下がらないときは、機種ごとの手順が取扱説明書に書かれているので、それに従って対処します。
まとめ
圧力鍋を使えば、時間のかかる栗茹でもぐっと手軽になります。加圧はそのまま食べるなら約10分、調理に使うなら約3分が目安です。
この記事のポイント:茹でる前に十字の切り込みを入れて破裂を防ぐ。加圧は用途で使い分け、圧は自然に下げる。皮むきは熱いうちに、鬼皮→渋皮の順で。保存は冷凍で約3か月が目安です。
コツさえつかめば、栗の下ごしらえはもう面倒ではありません。旬のホクホク栗を、ぜひ気軽に楽しんでみてください。
手元に栗があるなら、最初にすることは鍋の取扱説明書を開いて、対応する食材と最低水量、満水容量を確かめることです。そこさえ押さえてしまえば、あとは切り込みを入れて加圧するだけで、今晩には湯気の立つ茹で栗が食べられます。










