10月の果物売り場は、9月とは並ぶ顔ぶれがはっきり変わります。走りだった柿やりんごが箱で積まれるようになり、見慣れない硬い洋なしが登場する。同じ「秋の果物」でも、先月とは選び方のコツが違ってきます。
10月は秋の果物が「走り」から「本番」へ入れ替わり、買ってすぐ食べない果物が主役になる月です。洋なしやキウイのように、家で数日待ってから食べ頃を迎えるものが増えます。ここを知らないまま買うと「硬くておいしくなかった」で終わってしまいます。
この記事では、10月が旬の果物8種類を特徴と選び方つきで紹介します。あわせて、追熟が必要なものとそうでないものの見分け方、種類別の保存日数の目安、食べ頃を逃したときの使い道までまとめました。
10月が旬の果物とは?秋の味覚が「本番」に入る月
まず、10月の果物がどういう位置づけにあるのかを押さえておくと、売り場での判断がぐっとラクになります。
10月に食べ頃を迎える果物 早見表
10月に店頭へ出そろう果物を、出回りの時期で分けると次のようになります。同じ月でも上旬と下旬では並ぶものが違います。
| 時期 | 売り場の主役 | 覚えておきたいこと |
|---|---|---|
| 10月上旬 | 栗・ぶどう・梨・早生のりんご | 9月からの続き。ぶどうと栗は終盤に入る |
| 10月中旬 | 柿(平核無・富有)・りんご(紅玉・ジョナゴールド) | 秋の主役が本格化。品種名で味が変わる |
| 10月下旬 | 洋なし・極早生みかん・シナノスイート・国産キウイ | 追熟してから食べる果物が増える |
「10月の果物」とひとくくりにせず、前半と後半で別の季節だと考えると失敗しません。とくに下旬は、その日に食べる果物と数日置く果物が同じ棚に並びます。
9月・11月との違い|「完熟」と「追熟」が同居する月
9月は「早く出てきたものをどう選ぶか」が中心でした。刀根早生の柿、つがるのりんご、極早生みかんの出はじめ。まだ品種が入れ替わる途中だったのです。
10月に入ると、それらが本命の品種にバトンタッチします。柿は平核無や富有へ、りんごは紅玉・ジョナゴールド・シナノスイートへ。味の主張がはっきりした品種が並ぶので、名前を見て選ぶ意味が出てくる月です。
もうひとつの特徴が、追熟型の果物の登場です。洋なし(ラ・フランス)と国産キウイは10月中旬から下旬に収穫され、そのままでは硬くて食べられません。11月には洋なしもみかんもピークを迎えるので、10月は「本番の入り口」と「待つ果物の始まり」が重なる月だといえます。
10月の果物選びは「今日食べるもの」と「数日待つもの」を分けて買うと、最後までおいしく食べきれます。

10月が旬の果物8選|特徴と選び方
10月に売り場でよく見かける果物を8つ紹介します。「10月ならではの状態」と「選ぶときの目印」をセットで押さえてください。

柿|10月は種なしの平核無から。富有は下旬に本格化
10月の柿は、まず種なしの平核無(ひらたねなし)が中心になります。もともと渋柿で、出荷前にアルコールや炭酸ガスで渋を抜いてから並びます。種がなく四角い形なので見分けやすく、切ってそのまま出せる手軽さが魅力です。甘柿の代表である富有柿は10月から出回りはじめ、最盛期は11月。10月の富有は「走り」にあたり、値段は少し高めです。
選ぶときは、ヘタが果実にぴったり張りついているかを見ます。ヘタが浮いているものは水分が抜けはじめています。全体の色が均一に濃く、ずしりと重いものが良品です。
りんご|紅玉・ジョナゴールド・シナノスイートの使い分け
10月はりんごの品種がいちばん豊富にそろう月です。9月の早生種(つがるなど)から中生種へ切り替わり、品種によって味も向き不向きも違います。用途で選ぶと満足度が上がります。
| 品種 | おおよその時期 | 味と向いている使い方 |
|---|---|---|
| 紅玉 | 10月上旬〜中旬 | 酸味が強く小ぶり。加熱で香りが立つのでジャム・アップルパイ向き |
| ジョナゴールド | 10月中旬〜 | 甘みと酸味のバランス型。生食もお菓子もどちらもいける |
| シナノスイート | 10月下旬に最盛期 | 酸味が穏やかで甘みが強い。そのまま食べるのに向く |
選ぶときは、軸が太くしっかりしていて、全体が均一に色づいたものを。表面がべたつくことがありますが、これは果実自体が出すろう物質で、傷んでいるわけではありません。むしろ完熟のサインとされます。
洋なし(ラ・フランス)|硬いまま買って家で仕上げる果物
10月の新顔が洋なしです。ラ・フランスは10月中旬から下旬に収穫されますが、樹の上では完熟しません。収穫後に低温で予冷し、常温で追熟させてようやく食べ頃になります(出荷の最盛期は11月)。
そのため、店頭のものが必ずしも食べ頃とはかぎりません。硬かったら失敗ではなく「まだ途中」というだけ。常温に置いて数日から10日ほど様子を見てください。
極早生みかん|10月が出荷のピーク。緑が残っていても中は甘い
温州みかんの中でいちばん早く熟すのが極早生(ごくわせ)みかんで、旬は9月から11月ごろ。とくに10月は出荷量が一年で最も多くなる月です。9月に出はじめたものと違い、酸味が落ち着いて食べやすくなっています。
特徴は、皮に緑色が残ること。「まだ熟していないのでは」と敬遠されがちですが、皮の色と中身の甘さは必ずしも一致しません。緑が残っていても果肉は十分に甘く、さっぱりした酸味とのバランスがこの時期ならではの味わいです。皮が薄くぴんと張り、軽すぎないものを選んでください。
梨|新高など晩生の大玉に交代する
9月に主役だった幸水・豊水が終わり、10月は新高(にいたか)のような晩生の大玉品種へ入れ替わります。ひとつ500g前後、大きいものは1kgを超えることもあり、果肉はやわらかく強い酸味がないので、酸っぱいのが苦手な人にも向きます。
梨は追熟しない果物です。置いても甘くならず水分が抜けるだけなので、店頭で完熟のものを選ぶのが鉄則。色が均一で、同じ大きさなら重いものを選んでください。
キウイフルーツ(国産)|収穫は10月下旬から。追熟が前提
スーパーで通年見かけるキウイですが、国産ものの収穫は10月下旬から11月にかけて。黄色系が先に、緑系(ヘイワード)が11月ごろに収穫され、出回りのピークは11月から翌年1月です。
キウイも洋なしと同じで、収穫したては硬く酸っぱい状態です。買ってすぐ切ると「酸っぱいだけ」になりがちなので、硬いものは必ず数日置いてください。食べ頃は両端を軽く押して、ふっくらとした弾力を感じるかどうかで判断します。カチカチなら未熟、ぶよぶよなら熟しすぎです。
ぶどう|終盤の狙い目。10月上旬までがめやす
ぶどうは9月がピークですが、10月上旬までは店頭に残ります。標高の高い産地や遅い品種、貯蔵されたシャインマスカットなどが並ぶ時期です。数は減るものの、完熟してから収穫されたものが多く味が濃いという良さがあります。
選ぶときは、軸が緑色で乾いていないものを。粒に白い粉(ブルーム)がついているのは新鮮な証拠で、農薬ではありません。房の下のほうの粒まで色づいていれば全体が熟しています。
栗|10月上旬までの晩生種と、冷蔵で甘みを乗せる方法
栗は9月から出回り、10月上旬ごろまでが最後のチャンス。丹波栗などの晩生種が中心で、粒が大きくほくほくとした食感が楽しめます。
知っておくと得なのが、買ってすぐ茹でるより、冷蔵庫のチルド室で数日から2週間ほど寝かせたほうが甘みが増すという性質です。低温に置かれるとデンプンが糖に変わるためで、新聞紙で包んでポリ袋に入れ、チルド室へ置くだけで実践できます。選ぶときは鬼皮にツヤと張りがあり、ずっしり重いものを。小さな穴があるものは虫が入っている可能性があるので避けてください。

失敗しない選び方のコツ
種類ごとに見るポイントは違いますが、共通して使える判断基準もあります。売り場で迷ったときの拠りどころにしてください。
重さ・軸・ヘタの3点で見分ける
- 重さ…同じ大きさを2つ持ち比べ、重いほうを選ぶ。水分が詰まっている証拠
- 軸・ヘタ…緑色でみずみずしいものが新鮮。茶色く枯れたものは日数が経っている
- 色づきの均一さ…片側だけ色が薄いものは日当たりの差。均一なものを優先する
見落とされがちなのが香りです。柿や梨、洋なしは食べ頃に近づくと軸のあたりから甘い香りが立ちます。逆に避けたいのは、へこみや黒い斑点が広がっているもの、皮にしわが寄っているもの、パックに水分がたまっているもの。中で傷みが進んでいる可能性があります。
追熟が必要な果物・不要な果物の一覧
10月の果物選びで最も差が出るのがここです。追熟する果物としない果物を混同すると、「硬いまま食べてがっかり」か「置いておいたら傷んだ」のどちらかになります。
| タイプ | 該当する果物 | 買い方の方針 |
|---|---|---|
| 追熟する(家で仕上げる) | 洋なし・キウイ | 硬いものを買ってOK。常温で数日〜10日待つ |
| 追熟しない(店で完熟を選ぶ) | 梨・ぶどう・みかん・栗 | 置いても甘くならない。買った時点の品質がすべて |
| やわらかくはなるが甘くはならない | 柿・りんご | 常温で果肉はやわらかくなる。食感の好みで調整する |
柿とりんごは中間的な性質です。置くと果肉はやわらかくなりますが、糖度自体が大きく上がるわけではありません。かたい食感が好きなら早めに、とろりとした食感が好きなら数日置いてから、という調整に使えます。
10月の旬の果物の保存方法
秋は果物のまとめ買いや頂きものが増える時期です。種類によって適した置き場所が違うので、買ってきたらまず仕分けから始めましょう。

常温・冷蔵・冷凍の使い分け(日数の目安)
目安を表にまとめました。保存環境や果物の状態で前後するので、判断の起点として使ってください。
| 果物 | 置き場所 | 日持ちの目安 | ひと工夫 |
|---|---|---|---|
| 柿 | 冷蔵(ポリ袋) | 1〜2週間 | 湿らせたキッチンペーパーをヘタに当て、ヘタを下にして入れる |
| りんご | 冷蔵(ポリ袋) | 2週間〜1か月 | 1個ずつ袋に入れる。ほかの果物と分ける |
| 洋なし | 常温→食べ頃後は冷蔵 | 追熟後2〜3日 | 食べ頃になったら冷やして進行を止める |
| みかん | 風通しのよい冷暗所 | 1〜2週間 | 重ねすぎない。カゴやザルに広げる |
| 梨 | 冷蔵(ポリ袋) | 約1週間 | 乾燥に弱いので必ず袋に入れる |
| キウイ | 常温→熟したら冷蔵 | 熟してから約1週間 | 硬いうちに冷やすと追熟が止まる |
| ぶどう | 冷蔵(房のまま袋) | 3〜5日 | 洗うのは食べる直前。洗うと傷みが早まる |
| 栗 | 冷蔵チルド(新聞紙+袋) | 2週間程度 | 寝かせると甘みが増す。茹でたら冷凍で約1か月 |
冷凍が使えるのは柿・ぶどう・栗です。柿はヘタを取って丸ごと冷凍し、半解凍でシャーベットのように。ぶどうは粒を外して洗い、水気をふいて保存袋へ入れます。
追熟を早める・止めるコントロール
追熟のスピードは家庭でも調整できます。カギは、りんごが出すエチレンというガス。果実の成熟を進める働きがあり、これを利用するかどうかで速さが変わります。
- ポリ袋にキウイ(または洋なし)とりんごを1個いっしょに入れる
- 袋の口を軽く閉じ、15〜20℃くらいの室内に置く
- 毎日そっと押して弾力を確かめる。数日〜10日ほどで食べ頃になる
- 食べ頃になったら冷蔵庫へ移し、それ以上進まないようにする
逆に、追熟を止めたいときは冷やします。りんごをほかの果物と分けて保存したほうがよいのも同じ理由で、エチレンが周囲の熟成を早めてしまうからです。まとめ買いしたときは「今週食べる分は常温、来週の分は冷蔵」と分けるだけで、食べ頃が自然にずれます。
傷んだサインと、食感が落ちたときの使い道
カビが生えている、酸っぱい発酵臭がする、果汁がしみ出してべたついている、中身が茶色く変色している。これらに当てはまるものは処分します。一方、やわらかくなりすぎただけ・しなびただけなら、まだ使い道があります。
| 状態 | おすすめの使い道 |
|---|---|
| 柿がやわらかくなりすぎた | スプーンで果肉をすくってヨーグルトへ。冷凍してシャーベットにも |
| りんごがぼけて食感が落ちた | 薄切りにして砂糖とレモンで煮る。焼きりんごにしてもよい |
| 梨がしなびた | すりおろして肉の下味やドレッシングに使う |
| 洋なしが熟しすぎた | ミキサーにかけてスムージーや、コンポートに |
おいしい食べ方・簡単アレンジ
そのまま食べるのが基本ですが、少し手を加えるだけで印象が変わります。手軽なアレンジを紹介します。
柿とりんごの秋サラダ
柿の甘みとりんごの酸味は相性がよく、そのままサラダになります。生ハムやクリームチーズ、くるみを合わせると見栄えも整います。
- 柿とりんごを一口大に切る。りんごは変色防止に塩水に軽くくぐらせる
- ボウルでオリーブオイル大さじ1、酢小さじ1、塩・こしょう少々を混ぜる
- 果物を加えてさっと和える
- 器に盛り、クリームチーズやくるみを散らす

加熱してさらにおいしくする
紅玉のような酸味の強いりんごは、加熱すると香りが立ちます。薄切りにして砂糖とバターでソテーするだけでも、トーストやアイスに添えられる一品に。洋なしもコンポートにすれば、熟しすぎたものを無駄にせずにすみます。
10月は果物だけでなく、野菜も魚も味が濃くなる月です。さつまいもや里芋、秋鮭やサンマといった旬の食材と組み合わせれば、季節感のある献立になります。


10月の旬の果物についてよくある質問
- 買ってきた洋なしが硬いのですが、失敗でしょうか?
-
失敗ではありません。ラ・フランスなどの洋なしは樹の上では完熟せず、収穫後に追熟させてはじめて食べ頃になります。店頭に並んだ時点ではまだ途中のものもあるため、硬い場合は常温に置いて数日から10日ほど待ってください。軸のまわりを押してふわりと沈む弾力が出たら食べ頃です。
- みかんの皮に緑が残っていますが、まだ食べられませんか?
-
食べられます。10月に多く出回る極早生みかんは、熟しても皮に緑色が残る品種です。皮の色と果肉の甘さは必ずしも一致しません。緑が残っていても果肉は十分に甘く、さっぱりした酸味が持ち味です。皮に張りがあり、持ったときに軽すぎないものを選んでください。
- 柿を早くやわらかくする方法はありますか?
-
ポリ袋にりんごと一緒に入れて常温に置くと、りんごが出すエチレンの働きで果肉がやわらかくなるのが早まります。ただし糖度そのものが大きく上がるわけではなく、あくまで食感の変化です。やわらかくなりすぎたものは、スプーンですくってヨーグルトに合わせたり、冷凍してシャーベットにしたりすると無駄になりません。
- りんごの表面がべたついているのは古いからですか?
-
古いからではありません。りんごが乾燥から身を守るために出すろう物質によるもので、完熟したサインとされています。ワックスを塗っているわけではないので、洗ってそのまま食べて問題ありません。
- 果物はまとめ買いしても大丈夫ですか?
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置き場所を分ければ問題ありません。追熟する洋なし・キウイは常温、追熟しない梨・ぶどうは冷蔵、と仕分けると食べ頃が自然にずれます。ただしりんごはエチレンを出してほかの果物の熟成を早めるため、1個ずつ袋に入れて分けて保存するのがおすすめです。
まとめ|10月は「待つ」ことで味が決まる月
10月の果物は、9月の「走りをどう選ぶか」から、「本番の品種を選び、必要なら待つ」段階へ移ります。柿もりんごも品種名で味が変わり、洋なしとキウイは家で仕上げてはじめて本来の味になります。
- 10月が旬の果物8選…柿・りんご・洋なし・極早生みかん・梨・キウイ・ぶどう・栗
- 上旬は栗とぶどうの終盤、中旬は柿とりんご、下旬は洋なし・みかん・キウイ
- 追熟するのは洋なしとキウイだけ。梨・ぶどう・みかん・栗は店頭の状態がすべて
- りんごのエチレンで追熟を早め、冷蔵で止める。まとめ買いは置き場所で調整する
- やわらかくなりすぎても、加熱や冷凍で使い道はある
「今日食べるもの」と「数日待つもの」を分けて買う。これだけで10月の果物は最後までおいしく食べきれます。
11月になれば富有柿もラ・フランスも最盛期を迎え、みかんは早生へ切り替わります。10月はその手前の、待つ楽しみがある時期です。
