料理の皿に添えられたパセリは、彩りの飾りとして残されることが少なくありません。ところが日本食品標準成分表(八訂)の数値を並べてみると、ビタミンKや鉄、カルシウムはほうれん草を大きく上回り、野菜のなかでも上位に入ります。
読み進めると、パセリ100gあたりの主な栄養素、ほうれん草・ブロッコリーとの比較、付け合わせ1〜2本で実際に摂れる量、そして買ってきた1束を使い切る保存と調理の手順がわかります。
要点は2つです。皿に残しがちな1〜2本にも数字として意味があること、そして苦みが気になるなら細かく刻んで火を通す使い方に切り替えると印象が変わることです。
パセリに含まれる主な栄養素
パセリはビタミン・ミネラルの含有量が野菜のなかでもトップクラスです。料理の彩りとして添えられることが多い食材ですが、実は少量でも効率よく栄養を摂れる優秀な野菜といえます。
パセリには、ビタミンK・β-カロテン・ビタミンC・鉄分・カリウムなど、不足しがちな栄養素がぎゅっと詰まっています。
ここでは、パセリの代表的な栄養素を日本食品標準成分表(八訂)のデータをもとに紹介します。
成分表に載っているのは「パセリ 葉 生」の可食部100gあたりの値です。パセリの葉だけを取り分けると1本あたり3〜5g程度なので、100gは20〜30本分にあたります。エネルギーは100gで34kcalと控えめです。
ビタミンK — 生鮮食品トップクラスの含有量
パセリの可食部100gあたりに含まれるビタミンKは850μgで、生鮮野菜のなかでも群を抜いた数値です。ビタミンKはカルシウムを骨に定着させる働きがあるほか、血液の凝固に関わる成分の合成にも欠かせません。
成人の1日あたりの目安量は150μg(日本人の食事摂取基準2020年版)なので、パセリをほんの少し食べるだけでも十分な量を補えます。
850μgという数値は、この目安量の5倍以上にあたります。ビタミンKは緑の濃い葉物や納豆にも含まれる栄養素ですが、そのなかでもパセリの数値は頭ひとつ抜けています。
脂溶性のため水に溶け出しにくく、洗う・水にさらすといった下ごしらえで大きく減ることはありません。数値の高さがそのまま食卓に乗りやすい成分です。
β-カロテン(ビタミンA) — 抗酸化力が豊富
パセリのβ-カロテン含有量は100gあたり7,400μgです。にんじん(皮つき・生)の6,900μgをも上回る数値で、緑黄色野菜のなかでもトップレベルに位置します。
β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。皮膚や粘膜の健康維持に関わる栄養素として知られています。
成分表の「β-カロテン当量」は、β-カロテンにα-カロテンなどを合わせ、ビタミンAとしての働きに換算した数値です。野菜の分類にも使われていて、可食部100gあたりのカロテンが600μg以上のものが緑黄色野菜とされます。
パセリの7,400μgは、その基準の12倍を超える量です。彩りに使われる小さな葉ですが、分類の上でも数値の上でも緑黄色野菜の代表格といえます。
ビタミンC — レモンにも匹敵する含有量
パセリ100gあたりのビタミンC含有量は120mgです。レモン果汁(100gあたり50mg)の2倍以上にあたります。
そのため、下ごしらえは短時間で済ませるのがポイントになります。流水でさっと洗ったらすぐに水気を切り、水に浸けたままにしないようにします。
刻むのは食べる直前にすると、切り口から水分が抜けるのを抑えられます。サラダやマリネに使うなら、盛りつけの直前に手でちぎるか、粗めに刻む程度にとどめると香りも残ります。
鉄分・カリウム・カルシウムなどのミネラル
パセリはミネラルも豊富に含んでいます。主な含有量は以下のとおりです。
| ミネラル | 100gあたりの含有量 |
|---|---|
| 鉄 | 7.5mg |
| カリウム | 1,000mg |
| カルシウム | 290mg |
| 葉酸 | 220μg |
| 食物繊維 | 6.8g |
とくに鉄分は野菜のなかでもかなり多い部類に入ります。葉酸は赤血球の生成に関わる栄養素で、妊娠期に必要量が増えることでも知られています。
カルシウム290mgは、同じ100gで比べると普通牛乳の110mgの2倍以上にあたります。食物繊維6.8gも、根菜のごぼうに近い水準で、葉物としては多い部類です。
鉄やカルシウムは水溶性ビタミンほど水に溶け出しやすくないため、加熱調理でも目減りは小さめです。スープや煮込みに使うなら、汁ごと食べる献立にすると取りこぼしがありません。

同じように葉を食べる野菜で、栄養の残し方が問われる食材の例も参考になります。

パセリと他の野菜の栄養比較
「パセリは栄養がある」と言われても、他の野菜と比べて実際にどのくらい違うのか気になるところです。ここでは、栄養価が高いことで知られるほうれん草やブロッコリーと数値を並べて比較してみます。
比較に使うのは、いずれも生の状態・可食部100gあたりの数値です。ほうれん草とブロッコリーを選んだのは、栄養価の高い野菜として売り場でも取り上げられることが多く、パセリと同じ緑の野菜だからです。
条件をそろえないと、乾燥品や加工品の数値が混ざって比較にならないためです。
ほうれん草・ブロッコリーとの比較表
| 栄養素(100gあたり) | パセリ(生) | ほうれん草(生) | ブロッコリー(生) |
|---|---|---|---|
| β-カロテン | 7,400μg | 4,200μg | 900μg |
| ビタミンC | 120mg | 35mg | 140mg |
| ビタミンK | 850μg | 270μg | 210μg |
| 鉄 | 7.5mg | 2.0mg | 1.3mg |
| カリウム | 1,000mg | 690mg | 460mg |
| カルシウム | 290mg | 49mg | 50mg |
| 食物繊維 | 6.8g | 2.8g | 5.1g |
出典:日本食品標準成分表(八訂)
注意したいのは、この表が「同じ重さあたりの濃さ」を比べたものだという点です。ほうれん草は1束(約200g)をゆでれば2〜3人分の副菜になりますが、パセリを一度に200g食べることはまずありません。
食卓に出てくる量まで含めて考えると、パセリは「少量で濃い」タイプの野菜という位置づけになります。
パセリが特に優れている栄養素
表を見ると、パセリはほとんどの項目でほうれん草やブロッコリーを上回っていることがわかります。
とりわけ鉄分はほうれん草の約3.7倍、カルシウムは約5.9倍と大きな差があります。ビタミンKに至っては、ほうれん草の約3倍です。
ビタミンCだけはブロッコリーがわずかに上回りますが、それ以外の栄養素ではパセリが圧倒的です。「飾り」として添えるだけではもったいない食材だということが、数値からもはっきりわかります。
香りの強い葉どうしで並べても、ビタミンKは高い水準です。しそ(葉・生)は690μg、バジル(葉・生)は440μgで、パセリの850μgが上回ります。
ただしβ-カロテン当量はしそが11,000μgあり、パセリの7,400μgを超えています。すべての項目で1位というわけではないので、料理に合わせて使い分けるのが現実的です。

パセリの栄養を効果的にとる食べ方
パセリの栄養素をしっかり活かすには、食べ方にちょっとしたコツがあります。ポイントは「生食と加熱の使い分け」と「油との組み合わせ」です。
調理に入る前の下ごしらえも仕上がりを左右します。パセリは縮れた葉のあいだに水や土が残りやすいので、ボウルにためた水で振り洗いし、そのあと軽く振って水気を落とします。
水気が残っているとまな板に張り付いて刻みにくくなるため、乾いた布巾で軽く押さえ、水分を取ってから包丁を入れます。使う分だけ葉を摘み、残りは束のままにしておくのが扱いやすい進め方です。
生食と加熱でどう変わる?
ビタミンCや葉酸は水溶性のため、加熱すると一部が失われます。これらの栄養素を優先的に摂りたい場合は、生のまま食べるのが効果的です。
一方、加熱してもβ-カロテンやビタミンK、鉄分、カルシウムなどは大きく減りません。スープや炒め物に加えれば、かさが減って量を食べやすくなるメリットもあります。
生で使うときは、茎から葉先だけを指でつまんで外します。細かく刻むほど水分が出るので、サラダなら粗めに、薬味として散らすなら細かめにと使い分けます。
火を通す場合は、火を止める直前か盛りつけてから散らすと、色と香りが残ります。長く煮込むと緑が茶色へ寄って香りも抜けるため、あとから加える食材として扱うのが向いています。
油と一緒に食べるとβ-カロテンの吸収アップ
β-カロテンは脂溶性の栄養素です。油と一緒に摂ることで体への吸収率が高まります。
オリーブオイルやバターでさっと炒めたり、ドレッシングと和えたりするのが手軽な方法です。天ぷらにするのもよい組み合わせといえます。
手軽なのは、刻んだパセリ大さじ1にオリーブオイル小さじ1を混ぜ、塩をひとつまみ加える方法です。焼いた肉や魚、ゆで野菜にかけるだけで、油と一緒に食べられます。
パン粉と混ぜて「パセリパン粉」にしておくのも便利です。オーブンやトースターで焼く料理に散らせば、油分と合わさって香ばしく仕上がります。揚げる場合は衣を薄くつけ、短時間で引き上げると色が残ります。
手軽にパセリを食べるアイデア3選
「苦くて食べにくい」と感じる方も多いパセリですが、工夫次第で取り入れやすくなります。
おすすめの食べ方
- みじん切りにしてスープやパスタに混ぜる — 細かく刻むと苦みが和らぎ、風味のアクセントになる
- パセリバターにする — 刻んだパセリとバターを混ぜて冷蔵保存。パンやステーキに添えるだけ
- スムージーに加える — バナナやりんごと一緒にミキサーにかけると苦みがほとんど気にならない
分量の目安を決めておくと迷いません。パセリバターなら室温に戻したバター50gに刻みパセリ大さじ1、スムージーなら葉2〜3本から始めて、慣れてきたら増やすと失敗しにくくなります。
どれも刻む手間さえ済ませておけば、あとは混ぜるだけで完成します。

1束を使い切る保存のしかた
パセリは1回に使う量が少ないぶん、買ってきた1束をどう保たせるかが課題になります。冷蔵で置くなら、茎の切り口を少し切り戻し、水を1〜2cm入れたコップに立てて袋をふんわりかぶせる方法が向いています。水は2日に1回替え、野菜室で1週間ほどが目安です。
使い切れない分は乾燥させておくと、常温で長く置けます。電子レンジを使えば10分ほどで作れます。
葉を茎から外して洗い、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。水分が残っていると乾きムラの原因になります。
耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、葉が重ならないように広げます。量が多いときは2回に分けたほうが仕上がりが揃います。
600Wで1分30秒ほど加熱し、様子を見ながら30秒ずつ追加します。指で触れてパリッと崩れる状態になれば十分です。
粗熱が取れたら手でもんで細かくし、密閉容器か保存袋に移します。乾燥剤を入れて冷暗所に置けば1か月ほどが目安です。
凍らせて残すやり方は、記事末の「よくある質問」で触れています。乾かす・凍らせる・その日に使い切るの3通りを、残っている量で選ぶと無駄が出ません。
水分を抜いて保存する野菜としては、切り干し大根の栄養も生の状態と比べると違いが見えてきます。

しなびた・黒ずんだときの見分け方
葉全体がしんなりしただけなら、氷水に5〜10分ほど浸けると張りが戻ります。水を吸わせたあとは、しっかり水気を切ってから使います。
葉先が黄色や茶色に変わっている場合は、その部分を摘み取れば残りは使えます。黒ずみは、洗ったあとの水滴が付いたまま袋で保存したときに出やすいので、しまう前に水気を落としておくと防げます。
判断に迷うときは、茎の切り口を見ると分かりやすくなります。切り口が乾いて縮んでいるものは水を吸い上げにくくなっているので、早めに刻んで加熱する料理へ回すのが向いています。
香りの強い野菜の下ごしらえという点では、エシャレットの扱い方も同じ考え方が使えます。

パセリは1日どのくらい食べればいい?
栄養たっぷりのパセリですが、1日にどのくらい食べるのが適切なのか知っておくと安心です。
どのくらい食べるかは、パセリを何に使うかで変わります。彩りとして添えるなら1〜2本、みじん切りにしてソースや炒め物に混ぜるなら1回で数本と、用途によって幅があります。乾燥パセリを常備している場合は、振りかける量が1gに満たないこともあります。
パセリだけで1日の栄養を賄う必要はありません。ほかの野菜と組み合わせたうえで、どれだけ上乗せできるかという見方をすると量の見当がつきます。
1日の適量の目安
パセリ1本(茎つき)の重さはおよそ10g、葉だけだと3〜5g程度です。料理に添えられるパセリは1〜2本が一般的なので、飾りのパセリを残さず食べるだけでも栄養を摂ることができます。
成分表の値を、実際に口に入る葉の重さへ置き換えると次のようになります。
| 葉の重さ | ビタミンK | β-カロテン当量 | ビタミンC | 鉄 |
|---|---|---|---|---|
| 3g | 約26μg | 約220μg | 約3.6mg | 約0.23mg |
| 5g | 約43μg | 約370μg | 約6mg | 約0.38mg |
| 10g | 85μg | 740μg | 12mg | 0.75mg |
| 20g | 170μg | 1,480μg | 24mg | 1.5mg |
付け合わせの1〜2本は葉の重さで3〜10gほどなので、ビタミンKは26〜85μgにあたります。葉だけで20gまで食べれば170μgとなり、目安量150μgを上回る計算です。
食べすぎには注意が必要な理由
パセリにはアピオールという精油成分が含まれています。アピオールは香りのもとになる成分ですが、大量に摂取すると胃腸に負担がかかることがあります。
通常の食事で使う量であれば心配はありません。ただし、一度に大量(100g以上など)を食べ続けるのは避けたほうがよいでしょう。
100g以上がどのくらいかというと、葉だけを集めて20〜30本分です。付け合わせやソースに使う範囲では、まず届かない量といえます。
気をつけたいのは、ジュースやスムージーのようにまとめてミキサーにかける使い方です。刻んでしまうと量が見えにくくなるので、器に入れる前に何本使ったかを数えておくと、量の見当が狂いません。

よくある質問
- 乾燥パセリでも栄養はある?
-
乾燥パセリにも栄養素は残っています。ただし、ビタミンCなど水溶性の成分は乾燥の過程で減少します。ビタミンKやβ-カロテンは比較的残りやすいため、手軽に使いたいときは乾燥パセリでも十分に活用できます。
- パセリは冷凍保存できる?
-
できます。水気をしっかり拭き取ってから保存袋に入れて冷凍してください。凍ったまま手で揉むと簡単にパラパラになるので、料理にそのまま振りかけられます。冷凍しても栄養素の大きな損失はありません。
- イタリアンパセリと普通のパセリの栄養に違いはある?
-
栄養成分は大きく変わりませんが、イタリアンパセリのほうが苦みが少なく、サラダなど生食に向いています。どちらを選んでも栄養面での差はほとんどないため、好みや用途で選んで問題ありません。
- パセリの茎にも栄養はある?
-
茎にも葉と同様にビタミンやミネラルが含まれています。やや硬いですが、みじん切りにしてスープや炒め物に加えれば、無駄なく栄養を摂ることができます。
- パセリに旬はある?
-
ハウス栽培や産地のリレーによって一年中出回りますが、葉がやわらかく香りの立つ時期は3〜5月と9〜11月ごろです。国内では千葉県が主産地で、この時期のものは縮れた葉がふっくらとして、生でも口当たりよく食べられます。
まとめ
パセリはビタミンK・β-カロテン・ビタミンC・鉄分・カルシウムなど、さまざまな栄養素を豊富に含む野菜です。ほうれん草やブロッコリーと比較しても、多くの栄養素で上回る実力を持っています。
料理に添えられたパセリを残さず食べるだけでも、手軽にビタミンやミネラルを補給できます。「飾り」で終わらせず、ぜひ毎日の食事に取り入れてみてください。
苦みが気になる方は、みじん切りにしてスープに混ぜたり、バターと合わせたりすると食べやすくなります。生食でも加熱でも栄養を活かせるので、自分に合った食べ方を見つけてみましょう。
- 下ごしらえは振り洗いのあと水気を切り、刻むのは口に入れる直前にする
- 火を通すなら仕上げに散らす。油やパン粉と合わせると量を食べやすい
- 冷蔵はコップに水を差して野菜室、乾かせば冷暗所で1か月ほど置ける
- 葉3〜10gでもビタミンKは26〜85μg。飾りの1〜2本が無駄にならない
買ってきた1束は、その日のうちに葉と茎を分けておくと使い道が決まります。葉の半分はその日の料理へ刻んで使い、残りはコップに立てて野菜室へ。週の後半まで残りそうなら、レンジで乾かして瓶に移しておけば、最後の一枝まで料理に回せます。
